春と修羅 第三集(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物
未完に終わった第三の詩集
- 文字数
- 18,661字
- 読了目安
- 約37分
- 表記
- 新字旧仮名
- 舞台
- 岩手県
この作品について
『春と修羅』『春と修羅 第二集』に続く第三の詩集として、賢治が構想した口語詩草稿の集成。1926年4月から1928年7月ごろまでの、日付と番号を付した詩稿が収められ、賢治が羅須地人協会で農耕と指導に打ち込んだ時期にあたる。生前に刊行されることはなく、構想のまま未完で終わった。農村の労働、病、信仰が詩の中に現れる。
あらすじ
作品は詩ごとに通し番号と日付が付く。〔村娘〕(一九二六年五月二日)は、畑を過ぎる鳥の影と青く光る山の稜のもと、雪菜の薹を手に砕いてひばりと川を聴きながら人と語らう短い詩。〔春〕は、陽が照り鳥が啼く楢の林がけむるころ、これからは「汚ない掌」をもつことになるのだ、と労働への覚悟を語る。〔水汲み〕では、ぎっしり生えた萱の芽、冷たい風の海蛇、すぎなの胞子を集める蒼い衣のヨハネなどの幻想が重なり、「水を汲んで砂へかけて」の繰り返しが響く。〔疲労〕では、南風も穂麦も痛いほどの晴天のもとで、ゆっくりと疲れていく心身が描かれる。農耕という実際の労働と、幻視に満ちた心象スケッチが一つの詩集の中で交差する。
冒頭部(原文より)
七〇六 村娘 一九二六、五、二、 畑を過ぎる鳥の影 青々ひかる山の稜 雪菜の薹を手にくだき ひばりと川を聴きながら うつつにひととものがたる 七〇九 春
「春と修羅 第三集」宮沢賢治(青空文庫)
末尾部(原文より)
みんな顔中稲で傷だらけにして 芬って酸っぱいあんずをたべる みんなのことばはきれぎれで 知らない国の原語のやう ぼうとまなこをめぐらせば、 青い寒天のやうにもさやぎ むしろ液体のやうにもけむって この堂をめぐる萱むらである
「春と修羅 第三集」宮沢賢治(青空文庫)
原文を読む
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