北越雪譜(鈴木牧之)のあらすじ・登場人物
雪国の暮らしを江戸へ
- 古典
- 文字数
- 130,382字
- 読了目安
- 約4時間21分
- 表記
- 新字旧仮名
- 種別
- 随筆
- 舞台
- 新潟県
この作品について
越後塩沢の縮の仲買商・鈴木牧之が、雪国の暮らしと自然を書き記した随筆集。江戸の人々が雪国の実情をまるで知らないことに驚いた牧之が、40年近い曲折の末、山東京山の増修を得て、初編3巻(1837年=天保8年)・二編4巻(1841年=天保12年)を江戸で刊行し、評判を呼んだ。雪の結晶の観察にはじまり、雪崩・吹雪・雪中の洪水の恐ろしさ、熊捕りや鮭漁、越後縮の製法と織り手の苦労、信濃との国境の秘境・秋山郷の古風な暮らし、雪中の芝居や祭り、雪にまつわる奇談・怪談まで、雪国に生きる人の目で具体的につづり、挿絵も豊富で「雪国の百科事典」とも呼ばれる。本書は気象学者・岡田武松の校訂本(岩波文庫)で、初編・二編に岡田の註解と解説を添える。
あらすじ
初編は、雪がどうしてできるかという天地の理の説明と、顕微鏡でのぞいた雪の結晶の図からはじまる。雪の深さ、冬支度、雪掘り、雪道の歩き方といった雪国の日常を語ったのち、筆は雪国ならではの災いと暮らしへ進む。雪崩に家ごと埋もれた一家の悲劇、吹雪に閉ざされて命を落とした若夫婦の話、熊捕りの猟師と、雪の穴で熊に助けられた男の話。越後縮の原料となる苧から糸を績み、雪の上で布をさらすまでの工程と、それを担う女たちの苦労。秋山郷を訪ねて見聞した、夜具も持たず米も作らない山人たちの素朴な暮らし。鮭漁のしかけや、雪中に現れる幽霊の話も織り込まれる。二編では、越後の城下や古歌の旧跡、雪に埋もれた正月の遊び、村人が役者も観客も務める雪中の芝居、斎の神の火祭り、芭蕉の遺墨、化石や火浣布などの珍しいもの、そして苗場山への登山を記し、病んだ鶴を助けた農夫が珍しい稲を授かる恩返しの話で筆を置き、ふたたび筆をとる日を期して結ぶ。
冒頭部(原文より)
凡天より形を為して下す物○雨○雪○霰○霙○雹なり。露は地気の粒珠する所、霜は地気の凝結する所、冷気の強弱によりて其形を異にするのみ。地気天に上騰形を為て雨○雪○霰○霙○雹となれども、温気をうくれば水となる。水は地の全体なれば元の地に皈なり。
「北越雪譜」鈴木牧之(青空文庫)
末尾部(原文より)
おもふに余がごとき賤農もかゝるめでたき 御代に生れたればこそ安居してかゝる筆も採なれ。されば千年の昌平をいのりて鶴の話に筆をとゞめつ。猶雪の奇談他事の珎説こゝに漏したるも最多ければ、生産の暇ふたゝび編を嗣べし。
「北越雪譜」鈴木牧之(青空文庫)
原文を読む
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