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浮世風呂(式亭三馬)のあらすじ・登場人物

銭湯に響く、江戸のおしゃべり

  • 古典
  • 風刺
  • 社会

式亭三馬 1809年

文字数
149,718字
読了目安
約4時間59分
表記
新字旧仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

式亭三馬の滑稽本。1809年(文化6年)の初編から、二編・三編・四編と1813年(文化10年)まで続けて刊行された。題は『諢話浮世風呂』。江戸の銭湯を舞台に、湯を浴びに来る人々の会話だけで、朝から夕方までの男湯と、女湯のおしゃべりを描く。朝湯の客、田舎者、医者、義太夫の師匠、酔っ払い、子どもたち、母親とお嫁さん、お屋敷奉公の女中、上方から来た人と江戸っ子など、年齢も身分もさまざまな人物が、自分の言葉で話す。大意には「銭湯ほど捷径の教諭なるはなし」とあり、裸になれば身分の隔てもないという建前のもとで、世相を笑い飛ばす。江戸後期の話し言葉の記録としても名高く、当時の方言や擬音、洒落もそのまま写されている。本書は「近代日本文学大系」第17巻(国民図書、1927年)による原文で、国立国会図書館が公開する底本の画像とOCRテキストを照らし合わせて起こし、収録した。

あらすじ

【大意】作者は、銭湯は賢い人も愚かな人も裸になれば同じで、欲の垢を洗い清める場所だと述べて、この書を始める。【初編(男湯)】朝一番に、寝坊の番頭を呼び起こす男や、父親と子どもの唄、老人の養生談義、田舎者の三助の話、褌と手拭いを取り違えた田舎侍の失敗がある。午後には子どもたちの雑談、広告を読み違えて番頭をなやます酔っ払い、義太夫の師匠と弟子、将棋をさす若者、母親の意見、座頭(盲人)同士の鉢合わせと酔っ払いとの喧嘩へと進む。【二編(女湯)】芸者や、母親同士の話、嫁の噂をする老婆たち、江戸の女と上方の女が言葉をめぐって言い争う場面、子どもの遊び唄、夫婦喧嘩の話、姑をいたわる嫁の話が続く。【三編(女湯のつづき)】お屋敷奉公の女中や下女の唄、化粧や芝居の噂、義太夫の話、母親たちの身の上話が交わされる。【四編(男湯)】秋の時候のなか、人々は上方者との言葉の違いや、世渡りの愚痴、酔った客同士のやりとりを笑い合い、最後は唄と踊りの騒ぎで締めくくられる。

登場人物

冒頭部(原文より)

其の故如何となれば、賢愚、邪正、貧福、貴賤、湯を浴びんとて裸形になるは、天地自然の道理

「浮世風呂」式亭三馬(青空文庫)

末尾部(原文より)

是非四編目の御望みに、オツトまかせの早合点、作者も俱に浮き立つて、机上に筆を踊らすのみ。

「浮世風呂」式亭三馬(青空文庫)

名文

熟監みるに、銭湯ほど捷径の教諭なるはなし。其の故如何となれば、賢愚、邪正、貧福、貴賤、湯を浴びんとて裸形になるは、天地自然の道理、釈迦も孔子も於三も権助も産まれたまゝの容にて、

式亭三馬『浮世風呂』(1809年)の「大意」の書き出し。湯に入れば聖人も下女も下男も生まれたままの姿になると説き、銭湯こそ人を教える近道だと言う。江戸の庶民の会話を写した滑稽本の、人間観をうかがわせる一節。

原文を読む

原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:「近代日本文学大系」第17巻 式亭三馬集(国民図書、1927年)所収の「諢話浮世風呂」。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて起こし、本文を収録した(解題・ルビ・挿絵・広告は省いた)。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。

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