抒情小曲集(室生犀星)のあらすじ・登場人物
ふるさとは遠きにありて思ふもの
- 文字数
- 14,495字
- 読了目安
- 約29分
- 表記
- 新字旧仮名
- 舞台
- 石川県
この作品について
室生犀星が1918年(大正7年)、感情詩社から刊行した第二詩集。同年の「愛の詩集」と並ぶ、犀星の初期を代表する抒情詩集である。二十歳前後の五年間の作をおさめ、みずみずしい少年の日の感傷と、ふるさと金沢や犀川への思慕をうたう。巻頭には北原白秋・萩原朔太郎らが序を寄せた。とりわけ「小景異情」中の一節――「ふるさとは遠きにありて思ふもの/そして悲しくうたふもの」――は、望郷の詩として広く親しまれ、教科書にも採られてきた近代抒情詩の名品である。
あらすじ
室生犀星が、二十歳前後の五年間に書きためた抒情詩をまとめた詩集。北国・金沢に育った少年の日の、人恋しくもの狂おしい感傷や、雪深い郷里の記憶、犀川のほとりの情景、そして東京での放蕩と悔恨の日々(「暗黒時代」)までが、透明で清冽なリズムに乗せてうたわれる。萩原朔太郎が「透明な青味を帯びた、美しい貝のやうな詩」と評したその繊細な調べは、日本語の抒情詩に新しい鋭さをもたらした。収録詩のうち最も古い「小景異情」の一節、「ふるさとは遠きにありて思ふもの/そして悲しくうたふもの/よしや/うらぶれて異土の乞食となるとても/帰るところにあるまじや」は、故郷を遠く離れて初めて募る望郷の哀しみをうたって、犀星の名を不朽のものとした。少年時代のあどけない真心と、青春の翳りとが交錯する、近代抒情詩の記念碑的な詩集である。
冒頭部(原文より)
序曲 芽がつつ立つ ナイフのやうな芽が たつた一本 すつきりと蒼空につつ立つ
「抒情小曲集」室生犀星(青空文庫)
末尾部(原文より)
ながれに感ず 波のおもみはきたる肩の上に 祈るがごとく釣を垂る
「抒情小曲集」室生犀星(青空文庫)
名文
ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの よしや うらぶれて異土の乞食となるとても 帰るところにあるまじや
「小景異情」その二の冒頭。故郷を離れた者の愛憎を言い当て、近代詩でもっとも広く口ずさまれてきた一節。
原文を読む
原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。