老いたるえびのうた(室生犀星)のあらすじ・登場人物
からだじゅうが悲しいえび
- 文字数
- 156字
- 読了目安
- 約1分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
老いた自分を一匹のえびに重ねて歌った、室生犀星の短い詩。ひげや角やとげのどれが悲しがっているのか分からないという諧謔と、全身が悲しいという実感が同居する。晩年の犀星の作風を示す小品として、講談社文芸文庫『蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ』に収められている。
あらすじ
「けふはえびのように悲しい」と詩は始まる。角やひげやとげをいっぱいに生やしているのに、どれが悲しがっているのか判らない。ひげに尋ねると「おれではない」といい、とがったとげに聞くと「わしでもない」という。それでは一体誰が悲しがっているのか、誰に聞いてもさっぱり判らない。最後の二行で、畳を這っている一疋のえせえびが示され、「からだじうが悲しいのだ」と言い切られる。部位ごとに悲しみの所在を探しても見つからず、全身がそのまま悲しみであるという認識に至る、わずか十数行の詩である。
冒頭部(原文より)
けふはえびのように悲しい 角やらひげやら とげやら一杯生やしてゐるが どれが悲しがつてゐるのか判らない。 ひげにたづねて見れば おれではないといふ。 尖つたとげに聞いて見たら わしでもないといふ。
「老いたるえびのうた」室生犀星(青空文庫)
末尾部(原文より)
それでは一体誰が悲しがつてゐるのか 誰に聞いてみても さつぱり判らない。 生きてたたみを這うてゐるえせえび一疋。 からだじうが悲しいのだ。
「老いたるえびのうた」室生犀星(青空文庫)
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