アプリで読む

無料・登録不要

十二支考(猪)(南方熊楠)のあらすじ・登場人物

イノシシノゲンコハヤクオクレ

南方熊楠 1923年(大正12年)1月 「太陽」

文字数
39,222字
読了目安
約1時間18分
表記
新字新仮名
種別
随筆

この作品について

「十二支考」のうち亥年にあたる「猪に関する民俗と伝説」。1923年(大正12年)「太陽」に四回にわたって連載された。博文館から届いた「イノシシノゲンコハヤクオクレ」という電報の意味が分からず思案する滑稽な冒頭で知られる。家猪(豚)と野猪(イノシシ)の区別、亥の日の商売始め、蝮除けの歌など、猪をめぐる和漢洋の伝承を集めている。

あらすじ

大正十一年の十二月はじめ、博文館から「イノシシノゲンコハヤクオクレ」という電信が届いた。何のことか判らず左思右考した熊楠は、上総で蕨を念じ奥州では野猪の歌を唱えて蝮の害を防ぐというから、野猪と蕨に縁がないわけではない、これは野猪と蕨を題に句でも作れという意だろうと結論する。ところが横合いからその電信を読んだ妻が、来年は亥の歳だから例によってイノシシの話の原稿を早く送れという意味だと解いたので、ようやく気がついてこの篇に取りかかった——という自嘲混じりの発端で始まる。以下、支那や朝鮮では猪の字が豕(ブタ)を指し、イノシシは山猪と書かねば通じないこと、『爾雅』に豕の子を猪というとあることなどを考証し、家猪と野猪の呼び分けについて読者に断りを置く。「ブタ」という語がいつから使われたかを血眼になって捜索し『奥羽永慶軍記』に見出す件など、考証の熱中ぶりが微笑ましい。以後、猪が蛇を食うこと、蝮除けの歌、猪にまつわる各地の伝説が並べられ、話は例によって思わぬ方角へ広がっていく。

冒頭部(原文より)

 十二月(大正十一年)初め博文館から「イノシシノゲンコハヤクオクレ」と電信あり、何の事か判らず左思右考するに、上総で蕨を念じ、奥州では野猪の歌を唱えて蝮蛇の害を防ぐとか。しかる上は野猪と蕨の縁なきにあらず。……妻が横合からちょっとその電信を読みおわり、これはそんなむつかしい事でない。来年は亥の歳だから、例に依ってイノシシの話の原稿を早く纏めて送れという訳と解いたので、初めて気が付いてこの篇に取り掛かった。

「十二支考(猪)」南方熊楠(青空文庫)

末尾部(原文より)

 人物画の大名人ゼウクシス、クロトンのヘーラ女神廟に掲ぐべきヘレナの肖像画を頼まれた時、クロトン最美の処女五人を撰み、一々その最好の相好を取り合せて作ったのが絶世の物だった。……これらでヘレナは滅法界な美女と判り、その乳もよほど愛らしかったと知れる。

「十二支考(猪)」南方熊楠(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品