甲冑堂(泉鏡花)のあらすじ・登場人物
荒れた堂に立つ女武者
- 文字数
- 1,910字
- 読了目安
- 約4分
- 表記
- 新字旧仮名
- 種別
- 随筆
- 舞台
- 宮城県
この作品について
泉鏡花の短編。橘南谿『東遊記』に記された、陸前の高福寺・甲冑堂の婦人像への思い入れから説き起こし、異説との読み比べ、唐土の神廟の像をめぐる逸話へと進む。木像に宿るものへの鏡花の関心がうかがえる。明治44年(1911)6月、「新小説」に掲載された。
あらすじ
橘南谿の『東遊記』には、陸前の高福寺にある小堂、甲冑堂の婦人像のことが記されている。佐藤継信・忠信兄弟の妻が、夫の姿をまねて老母を慰めたのを哀れんで、人々が彫った木像だという。筆者は、荒れた堂の中の彩色が褪せた女の像に、幼いころから今に至るまで強く心を寄せていると述べる。『陸奥千鳥』『続奥の細道』の句を引き、さらに『観聞志』に、像が弓矢をとり刀を撫でる姿と記されていることに触れ、東遊記の方が本当であってほしいと願う。後半は唐土の話で、三人の貴公子が蒋山の廟の女像に戯れて、夢で神の怒りを受ける逸話を紹介し、木像には神が宿らなくとも霊が来て憑くのだと結ぶ。
冒頭部(原文より)
橘南谿が東遊記に、陸前国苅田郡高福寺なる甲胄堂の婦人像を記せるあり。
「甲冑堂」泉鏡花(青空文庫)
末尾部(原文より)
木像、神あるなり。神なけれども霊あつて来り憑る。山深く、里幽に、堂宇廃頽して、愈活けるが如く然る也。
「甲冑堂」泉鏡花(青空文庫)
原文を読む
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