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桜(岡本かの子)のあらすじ・登場人物

命をかけて眺める桜

岡本かの子 

文字数
3,653字
読了目安
約7分
表記
新字旧仮名

この作品について

岡本かの子の短歌連作。「桜ばないのち一ぱいに咲くからに生命をかけてわが眺めたり」で始まり、咲き満ちる桜に命の充実と哀しみを重ねる。かの子の歌人としての強い生命感が表れる。

あらすじ

連作は、「桜ばないのち一ぱいに咲くからに生命をかけてわが眺めたり」と、桜の盛りを命がけで見つめる歌から始まる。続く歌では、棕梠が春光に輝くかたわらの桜、芽ぐむ山の樹々、ひっそりと閉ざされた欅の大門の桜など、さまざまな桜の景が詠まれる。桜の下で親豚と子豚が啼き睦む情景や、桜の幹につながれた若駒の瞳の潤みなど、身近な生き物を捉えた歌も多い。後半には、桜の下で子を寝かしつける歌や、人間の交友の果てを思う歌があり、終わりは、台所の明かりの下に桜の肌のような生魚を置く歌で結ばれる。

冒頭部(原文より)

桜ばないのち一ぱいに咲くからに生命をかけてわが眺めたり さくら花咲きに咲きたり諸立ちの棕梠春光にかがやくかたへ この山の樹樹のことごと芽ぐみたり桜のつぼみ稍ややにゆるむ ひつそりと欅大門とざしありひつそりと桜咲きてあるかも 丘の上の桜さく家の日あたりに啼きむつみ居る親豚子豚

「桜」岡本かの子(青空文庫)

末尾部(原文より)

ねむれねむれ子よ汝が母がきちがひのむかし怖れし桜花あらぬ春 人間の交友のはてはみな儚な桜見つつし行きがてぬかなし (来よと宣らせる佐藤春夫氏に厚く謝しつつ) 桜花あかり廚にさせば生魚鉢に三ぼん冴えひかりたり 生ざかな光りて飛べりうす紅の桜の肌の澄みの冷たさ

「桜」岡本かの子(青空文庫)

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原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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