唐模様(泉鏡花)のあらすじ・登場人物
漢籍の美人怪異を語り直す
- 文字数
- 6,931字
- 読了目安
- 約14分
- 表記
- 旧字旧仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
末尾に明治45年(1912年)3月・6月と記された小品。「麗姫」「勇将」「愁粧」「捷術」「驕奢」「空蝉」「人妖」「少年僧」「魅室」「良夜」の十節からなり、古い中国の書物に見える美人、勇士、怪異、碁の名手の逸話を、くだけた調子で語り直す。首のない将軍が馬で帰る話や、墓を暴く盗賊の話など題材は多彩で、各節は短い。随所に当世の風俗への皮肉が混じる。
あらすじ
十の短い節を並べた小品で、各節は古い中国の逸話を一つずつ語る。漢の武帝の宮人麗娟の繊細な美しさ、首を失っても馬で陣へ帰る賈雍将軍、昔の化粧の流行から当世の庇髪に及ぶ皮肉、綱を歯にくわえて旗竿に登る隋の沈光、豪奢を競う王侯、墓の玉女の指環を取ろうとして矢に襲われる盗賊たち、両足のない婦人が芸で人気を集めたのち密使と知れた話、関帝廟に恋歌をささげた僧、夜ごと妻が馬で空を飛ぶ話、蜀の山中で姑と嫁が碁を打つ声を聞いた名手の話などを、軽妙な口調で紹介する。最後の「良夜」は『敢て目白の学校にあらざる也』と結ばれる。
冒頭部(原文より)
惟ふに、描ける美人は、活ける醜女よりも可也。傳へ聞く、漢の武帝の宮人麗娟、年はじめて十四。玉の膚艷やかにして皓く、且つ澤ふ。たきもしめざる蘭麝おのづから薫りて、其の行くや蝶相飛べり。蒲柳纖弱、羅綺にだも勝へ難し。麗娟常に身の何處にも瓔珞を挂くるを好まず。
「唐模様」泉鏡花(青空文庫)
末尾部(原文より)
姑微笑みて、時に起きて座に跪坐たる婦を顧みて曰ふ、お前教へてお上げと。婦、櫛卷にして端坐して、即ち攻守奪救防殺の法を示す。積薪習ひ得て、將た天が下に冠たり。 それ、放たれたる女は、蜀道の良夜にあり。敢て目白の學校にあらざる也。
「唐模様」泉鏡花(青空文庫)
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