小壺狩(薄田斬雲)のあらすじ・登場人物
名物茶入をめぐる軽妙な逸話
- 文字数
- 9,649字
- 読了目安
- 約19分
- 表記
- 新字旧仮名
- 種別
- 小説
この作品について
薄田泣菫の短編。『猫の微笑』(1927年)所収。小倉の細川家家臣・松井佐渡守の仲間、喜平が、茶入「生高」を手に入れるまでの逸話を、軽妙なユーモアで描いた茶道もの。名物茶入への執着と、人の名前の重みを描く。
あらすじ
彦山村から槻の木へ抜ける薬師峠の一軒茶屋で、松井佐渡守の仲間喜平が休んでいる。初夏の明るい山、鈴を振るような小鳥の声。喜平の人物像が語られるところから物語は始まる。終盤には、茶入「生高」を黄金二千枚を払って手に入れ、やっと仲間喜平の名の重みから免れることができた、という結びがある。
冒頭部(原文より)
一 彦山村から槻の木へ抜ける薬師峠の山路に沿うて、古ぼけた一軒茶屋が立つてゐます。その店さきに腰を下ろして休んでゐるのは、松井佐渡守の仲間喜平でした。松井佐渡守といふのは、当国小倉の城主細川忠興の老臣として聞えた人でした。
「小壺狩」薄田斬雲(青空文庫)
末尾部(原文より)
忠興の心は、勝利の予期をもつて、雀のやうに小躍りしました。 忠興は、間もなく古田織部の手を経て、黄金二千枚を払つて、唐物の名物「生高」といふ茶入を手に入れました。そしてやつと仲間喜平の名前の重みから免かれることができました。 〔昭和2年刊『猫の微笑』〕
「小壺狩」薄田斬雲(青空文庫)
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