艸木虫魚(薄田斬雲)のあらすじ・登場人物
草木虫魚を詠む随筆集
- 文字数
- 114,138字
- 読了目安
- 約3時間48分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
薄田泣菫の随筆集。柚子・柿・蛙など、身近な草木や虫、魚、鳥をめぐる短い文章を集める。博識と諧謔をまじえ、季節の移ろいを細かく捉えた語り口は、泣菫随筆の円熟を示す。
あらすじ
冒頭の「柚子」は、柚の木の梢高く柚子の実がかかっているのを見ると、秋のわびしさを身にしみて感じる、と始まる。秋は豊熟した胸のふくらみを林檎に、軽い憂鬱を柿に、清明を梨に、素朴を栗に授け、最後に残されたわびしさと苦笑を柚子に与えたという。柚子は「世間のすねもの」だという。巻末近くには雨蛙の登場する童話風の文章があり、買いかぶられるのがいちばん嫌だという雨蛙の言葉で終わる。
冒頭部(原文より)
柚子 柚の木の梢高く柚子の実のかかっているのを見るときほど、秋のわびしさをしみじみと身に感ずるものはない。豊熟した胸のふくらみを林檎に、軽い憂鬱を柿に、清明を梨に、素朴を栗に授けた秋は、最後に残されたわびしさと苦笑とを柚子に与えている。苦笑はつよい酸味となり、わびしさは高い香気となり、この二つのほかには何物をももっていない柚子の実は、まったく貧しい秋の私生児ながら、一風変った秋の気質は、外のものよりもたっぷりと持ち伝えている。
「艸木虫魚」薄田斬雲(青空文庫)
末尾部(原文より)
「慾のない小伜めが。一家一族の面目ってことを知りくさらねえのか。」 「それは知っている。だが、おれは嘘は言いたくないのだ。それに買いかぶられるのが何よりも嫌なんだ。」 そういった雨蛙の言葉には、何となくある明るさと力強さとがありました。
「艸木虫魚」薄田斬雲(青空文庫)
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