利休と遠州(薄田斬雲)のあらすじ・登場人物
茶人たちの目利きを描く
- 文字数
- 5,859字
- 読了目安
- 約12分
- 表記
- 新字旧仮名
- 種別
- 小説
この作品について
薄田泣菫の短編。『猫の微笑』(1927年)所収。堺の数寄者が、肩衝の茶入「雲山」を手に入れ、千利休に品評してもらおうとする茶会の話。茶人たちの鑑賞眼と見栄を、皮肉をきかせて描く。
あらすじ
むかし堺衆の一人、某という数寄者が、流行にかぶれて大金で肩衝の茶入「雲山」を手に入れる。太閤秘蔵の北野肩衝も徳川家自慢の初花肩衝も及ぶまいと思い、当代の茶博士から折り紙つきの賞賛の言葉を得たいと考える。ある日、大宗匠の千利休を茶会に招く機会がやってくる。結末では、老人は気づかない様子で、語り手は自分の返事を思い出して赤面する。
冒頭部(原文より)
一 むかし、堺衆の一人に某といふ数寄者がありました。その頃の流行にかぶれて、大枚の金子を払つて出入りの道具屋から、雲山といふ肩衝の茶入を手に入れました。太閤様御秘蔵の北野肩衝も、徳川家御自慢の初花肩衝も、よもやこれに見勝るやうなことはあるまいと思ふにつけて、某はその頃の名高い茶博士から、何とか折紙つきの歎賞の言葉を得て、雲山の誉れとしたいものだと思つてゐました。
「利休と遠州」薄田斬雲(青空文庫)
末尾部(原文より)
それを聞くと、遠州はすぐにあの茶入に対する世間の評判を思ひ出しました。今の持主の京極安知が彼に相談したことを思ひ出しました。そしてそれに対する自分の返事をそつと思ひ出して、覚えず顔を赤らめました。 老人はそれには一向気がつかない容子でした。 〔昭和2年刊『猫の微笑』〕
「利休と遠州」薄田斬雲(青空文庫)
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