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紅葉山人訪問記(田山花袋)のあらすじ・登場人物

憧れの大家を訪ねた文学書生の日

田山花袋 1912年(大正元年)10月 「文章世界」

文字数
6,700字
読了目安
約13分
表記
新字旧仮名
種別
随筆
舞台
  • 東京都

この作品について

明治二十四年五月、貧しい文学書生だった田山花袋が、手紙の返事をもらって初めて尾崎紅葉を横寺町の家に訪ねた日の思い出。新婚の紅葉の華やかな暮らし、ゾラや西鶴をめぐる会話、帰って見た自分の家のみじめさ、江見水蔭の家での紅葉の旅の失敗談などを、牛込・神楽坂界隈の空気とともに綴る。

あらすじ

田山花袋が、明治二十四年の五月、初めて尾崎紅葉を訪ねた頃を回想した随筆。紅葉・露伴が並び称され、『読売新聞』で『伽羅枕』と露伴の『ひげ男』が競作されていた頃、上野の図書館で西鶴や西洋小説を読んでいた貧しい文学書生の花袋は、紹介もなしに紅葉へ手紙を書く。すぐに返事が来て、雑誌『千紫万紅』への入会を勧められ、新婚の紅葉が移った横寺町の二階で対面する。紅葉は「西洋の物は読むやうにしないと駄目だね」と語り、読んでいるゾラの文章を扇の襞にたとえてみせた。帰宅した花袋は、自分の家のみじめさに情けなくなり、「勉強する外仕方がない」と唇を噛む。のちに作品を見てもらい、短冊の句をもらい、江見水蔭の家にも通うようになる。紅葉が旅先で金を取られて戻った話、神楽坂での新妻の逸話、初子を亡くした句などを挟みつつ、鏡花・風葉が玄関にいた花やかな暮らしを羨んだ日々を振り返り、紅葉を思い出すと牛込の山手の空気が先に浮かぶと結ぶ。

登場人物

冒頭部(原文より)

 随分もう昔だ。その頃のことを繰返して見ると、いつの間にか月日が経つたといふことが染々と考へられる。尾崎紅葉と書いた返事が来た時、自分は何んなに喜んだか知れなかつたが、其喜びももう想像が出来ない位薄い印象を残してゐるに過ぎない。

「紅葉山人訪問記」田山花袋(青空文庫)

末尾部(原文より)

 紅葉山人を思出さうとすると、牛込の山手の空気と気分とが、先づ私の心を襲つて来る。賑やかな神楽坂の通の奥に住んで居た文壇の大家といふ風に、何うしても私には思ひ出されて来る。

「紅葉山人訪問記」田山花袋(青空文庫)

原文を読む

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