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間引菜(泉鏡花)のあらすじ・登場人物

大震災の夜と鼠と流言

泉鏡花 1923年(大正12年)11月

文字数
12,629字
読了目安
約25分
表記
旧字旧仮名
種別
随筆

この作品について

大正12年(1923)11月の日付をもつ泉鏡花の随筆。関東大震災の直後、麹町に近い借家で提灯一つを頼りに過ごした夜の心細さを出発点に、車麩を持ち去った鼠、井戸に毒が入ったという流言、前兆とされた椋鳥の騒ぎ、鼬の逸話などを、中国や江戸の故事を交えて自在に連ねている。

あらすじ

(内容の要旨)大震災から数日、電灯が消えた東京で、筆者の家では心細い提灯の灯だけが頼りだった。夜ごと台所で「がさり」と音を立てる鼠が、地震後の貴重な食料、車麩を持ち去ったらしい。結局、車麩は荷物の奥から後で見つかる。そのうち街では流言蜚語が飛び交い、井戸に毒が入った、猫の死骸が投げ込まれたなどと騒ぎになるが、確かめれば根も葉もない。筆者は天明の流言や、中国の周南と鼠の故事を引いて、流言には動じない周南先生の流儀に倣うべきだと述べる。さらに地震の前夜、町の木に椋鳥が異様に群がって騒いだことを前兆だったかのように語る人々を描き、地震後に増えた鼠に対抗するように現れた鼬の話へと移る。鼬の知恵を伝える北国の山家の逸話や、友人から聞いた蛇に見えた鼬の列の話を紹介し、「毒蛇のあとは鼠を獵れ」と呼びかけて筆を置く。

冒頭部(原文より)

 わびしさ……侘しいと言ふは、寂しさも通越し、心細さもあきらめ氣味の、げつそりと身にしむ思の、大方、かうした時の事であらう。  ――まだ、四谷見つけの二夜の露宿から歸つたばかり……三日の午後の大雨に、骨までぐしよ濡れに成つて、やがて着かへた後も尚ほ冷々と濕つぽい、しよぼけた身體を、ぐつたりと横にして、言合はせたやうに、一張差置いた、眞の細い、乏しい提灯に、頭と顏をひしと押着けた處は、人間唯髯のないだけで、秋の蟲と餘りかはりない。  ひとへに寄縋る、薄暗い、消えさうに、ちよろ/\またゝく……燈と言つては此一點で、二階も下階も臺所も内中は眞暗である。

「間引菜」泉鏡花(青空文庫)

末尾部(原文より)

 大野の話も頷かれて、そのはたらきも察しらるゝ。  かの、(リノキ、チツキテビー)よ。わが鼬將軍よ。いたづらに鳥など構ふな。毒蛇を咬倒したあとは、希くは鼠を獵れ。蠅では役不足であらうも知れない。きみは獸中の隼である。……

「間引菜」泉鏡花(青空文庫)

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原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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