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みじかい木ぺん(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物

キッコと短い鉛筆

宮沢賢治 

文字数
4,732字
読了目安
約9分
表記
新字新仮名

この作品について

雨の日の教室で、短くなった鉛筆を握りしめる小さな少年キッコを描いた、未完の学校童話。霜やけの手と、からかわれながらも笑っている少年の姿から、貧しい村の子どもたちの暮らしが伝わってくる。東北の方言が飛び交う教室の描写は賢治の観察の細やかさを示す。原稿は途中で途切れるが、小品ながら『風の又三郎』などの学校ものを想わせる。

あらすじ

雨の日、キッコの村の学校では子どもたちが教室で胆取りと巡査に分かれて暴れている。小さくて弱いキッコは席にこもり、唇を噛みながらにかにかと笑って、短い鉛筆で横向きの8の字を書き続ける。手は五月になっても霜やけで赤くふくれている。巡査役の慶助がキッコの鉛筆を取り上げ、おかしそうに眼の前で振ってからかうと、キッコは必死に手を伸ばして取り返そうとする。やがて算術の時間になり、先生が鉛筆の値段の問題を出す。みんなが手を挙げ、キッコも仕方なく手を挙げて指されるが、勢いよく立ったものの先を言えなくなり、顔を赤くして黙り込む。原稿はそこで終わっている。

冒頭部(原文より)

一 キッコの村の学校にはたまりがありませんでしたから雨がふるとみんなは教室で遊びました。ですから教室はあの水車小屋みたいな古臭い寒天のような教室でした。みんなは胆取りと巡査にわかれてあばれています。 「遁げだ、遁げだ、押えろ押えろ。」「わぁい、指噛じるこなしだでぁ。」

「みじかい木ぺん」宮沢賢治(青空文庫)

末尾部(原文より)

算術の時間でした。「一ダース二十銭の鉛筆を二ダース半ではいくらですか。」先生が云いました。みんなちょっと運算してそれからだんだんさっと手をあげました。とうとうみんなあげました。キッコも仕方なくあげました。「キッコさん。」先生が云いました。 キッコは勢よく立ちましたがあともう云えなくなって顔を赤くしてただもう〔以下原稿なし〕

「みじかい木ぺん」宮沢賢治(青空文庫)

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