ドナウ源流行(斎藤茂吉)のあらすじ・登場人物
大河の源を訪ねて
- 文字数
- 21,432字
- 読了目安
- 約43分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
斎藤茂吉が、ヨーロッパ留学中にドナウ川の源流を訪ねた紀行文。ウィーンで見た大河の源を知りたいという長年の思いから、ミュンヘン滞在中に出かけた旅を描く。医学者であり歌人でもある茂吉の旅への好奇心と、風景を見る目が表れる。
あらすじ
息もつかず流れるこの大河は、どのあたりから出ているのだろうと、ウィーン生まれの処女とともに旅をしていた晩春の午後、筆者は思ったことがある。初冬には濁流が氾濫する様子も見に行き、活動写真で濁流に流された馬の死骸を見た。地図をたどると、河は西南ドイツの山中から細く出ている。筆者はミュンヘンに来て、ドナウに関する書物を買い、源流をたずねる旅を計画する。コンスタンツに着き、湖畔の旅舎に一夜眠り、翌日大湖を縦断して、南ドイツの山中へ向かう。ついにはドナウへ注ぐ無数の小川を見ようとするところで終わる。
冒頭部(原文より)
一 この息もつかず流れている大河は、どのへんから出て来ているだろうかと思ったことがある。維也納生れの碧眼の処女とふたりで旅をして、ふたりして此の大河の流を見ていた時である。それは晩春の午後であった。それから或る時は、この河の漫々たる濁流が国土を浸して、汎濫域の境線をも突破しようとしている勢を見に行ったことがある。それは初冬の午後であっただろうか。そのころ活動写真でもその実写があって、濁流に流されて漂い著いた馬の死骸に人だかりのしているところなども見せた。その時も、この大河の源流は何処だろうかと僕は思ったのであった。
「ドナウ源流行」斎藤茂吉(青空文庫)
末尾部(原文より)
僕はここの湖畔の旅舎に一夜ねむり、あくる日は此の大湖を縦断して、アルプス山系の延びて来ている南独逸の山中に行こうとするのである。そこで、ついにはドナウへ灑ぐ筈の、「迂りながら急いで谷へながれ入る無数の小川」を見ようとするのである。
「ドナウ源流行」斎藤茂吉(青空文庫)
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