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星より来れる者(室生犀星)のあらすじ・登場人物

すらりと書けた短い詩たち

室生犀星 1922年(大正11年)

文字数
19,197字
読了目安
約38分
表記
旧字旧仮名

この作品について

室生犀星の詩集。序文で犀星は、詩を書き出して十年になるが昔書いたことをときどき書き換えているにすぎない気がする、近ごろはぽつりぽつりとしか詩ができない代わりに、書くときはすらりと出てくると述べる。口語の短い詩が中心で、日常の小さなものへの目が生きた一冊である。

あらすじ

序文では、特に作ろうとも考えようともせず、すらりと書いた詩をまとめたこと、変化したかしないかは形式や輪廓の問題で、一ところに目覚めた心は昔のままであることが語られる。詩篇は「藁」「虻」「星簇」「青九谷」「鶏頭」「虫」「苔」「雨後」「海」「富士山」「幽遠」「巣」「巷塵」「錆」「池」「田舎」「道路」「客」「家」「冬木」「小鳥」「夏昼」「夜」「蠅」「土手」「盗心」など、身のまわりの小さなものを題にした短い口語詩が中心である。たとえば「雨後」は、雨上がりの水たまりに木の葉と日の光が映り、ひっそりした家に急に明るい声がし出すさまを歌う。終わり近くの「こども」は、生まれた子が自分によく似ていて、声まで似ているのを、長く見つめていられないと驚く詩である。

冒頭部(原文より)

「星より來れる者」序  このごろ詩はぽつりぽつりとしかできない。一時のやうに、さうたやすく書けなくなつたかはり、書くときはすらりと出てくる。それが詩の本統かもしれない。詩を書き出して十年になるが、やはり古くかいたことを時時かき換へてゐるにすぎない氣がする。併し一方からいへば、一つのものをかいても、本統に別な氣持でかいてゐることを考へると、形式でなく、輪廓でもない、心核から、しつかりと自分をかいてゐる氣もする。

「星より来れる者」室生犀星(青空文庫)

末尾部(原文より)

おこると齒がゆさうに顏を振る そこがよく似てゐる あまり似てゐるので 長く見詰めてゐられない ときどき見に行つて また机のところへかへつてくる私は なにか心で たえず驚きをしてゐる

「星より来れる者」室生犀星(青空文庫)

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