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夏目漱石論(森鴎外)のあらすじ・登場人物

十の問いに短く答える漱石評

森鴎外 1910年(明治43年)7月

文字数
762字
読了目安
約2分
表記
新字新仮名
種別
随筆

この作品について

1910年(明治43年)7月に発表された、夏目漱石についての短い文章。「今日の地位に至れる径路」「社交上の漱石」「門下生に対する態度」「貨殖に汲汲たりとは真乎」「家庭の主人としての漱石」「党派的野心ありや」「朝日新聞に拠れる態度」「創作家としての伎倆」「創作に現れたる人生観」「その長所と短所」の十項目の見出しに沿って、鴎外が知っていることだけを簡潔に答える。「立派な紳士」「立派な伎倆」と評する一方、知らないことは知らないとそのまま書く。

あらすじ

十の見出しごとに、鴎外が漱石について答える。今の地位には何の政策も要らなかったはずだと述べ、社交上は二度逢っただけだが立派な紳士だと思う。門下生で知っているのは森田草平一人で、師弟の情誼は濃厚だと思う。貨殖や家庭については知らず、党派については、朝日新聞の文芸欄には一種の決まった調子があるが、生存競争の自然の現象のようなものだとする。創作家としての伎倆は、少し読んだだけだが立派だと認め、人生観は、もっと読まないと判断しにくいと答える。長所は沢山目につくが、短所というほどのものは目につかないと結ぶ。

冒頭部(原文より)

   一、今日の地位に至れる径路  政略と云うようなものがあるかどうだか知らない。漱石君が今の地位は、彼の地位としては、低きに過ぎても高きに過ぎないことは明白である。然れば今の地位に漱石君がすわるには、何の政策を弄するにも及ばなかったと信ずる。    二、社交上の漱石  二度ばかり逢ったばかりであるが、立派な紳士であると思う。

「夏目漱石論」森鴎外(青空文庫)

末尾部(原文より)

 朝日新聞の文芸欄にはいかにも一種の決まった調子がある。その調子は党派的態度とも言えば言われよう。スバルや三田文学がそろそろ退治られそうな模様である。しかしそれはこの新聞には限らない。生存競争が生物学上の自然の現象なら、これも自然の現象であろう。    八、創作家としての伎倆  少し読んだばかりである。しかし立派な伎倆だと認める。    九、創作に現れたる人生観  もっと沢山読まなくては判断がしにくい。    十、その長所と短所  今まで読んだところでは長所が沢山目に附いて、短所と云う程のものは目に附かない。

「夏目漱石論」森鴎外(青空文庫)

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