夏目漱石論(森鴎外)のあらすじ・登場人物
十の問いに短く答える漱石評
- 文字数
- 762字
- 読了目安
- 約2分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
1910年(明治43年)7月に発表された、夏目漱石についての短い文章。「今日の地位に至れる径路」「社交上の漱石」「門下生に対する態度」「貨殖に汲汲たりとは真乎」「家庭の主人としての漱石」「党派的野心ありや」「朝日新聞に拠れる態度」「創作家としての伎倆」「創作に現れたる人生観」「その長所と短所」の十項目の見出しに沿って、鴎外が知っていることだけを簡潔に答える。「立派な紳士」「立派な伎倆」と評する一方、知らないことは知らないとそのまま書く。
あらすじ
十の見出しごとに、鴎外が漱石について答える。今の地位には何の政策も要らなかったはずだと述べ、社交上は二度逢っただけだが立派な紳士だと思う。門下生で知っているのは森田草平一人で、師弟の情誼は濃厚だと思う。貨殖や家庭については知らず、党派については、朝日新聞の文芸欄には一種の決まった調子があるが、生存競争の自然の現象のようなものだとする。創作家としての伎倆は、少し読んだだけだが立派だと認め、人生観は、もっと読まないと判断しにくいと答える。長所は沢山目につくが、短所というほどのものは目につかないと結ぶ。
冒頭部(原文より)
一、今日の地位に至れる径路 政略と云うようなものがあるかどうだか知らない。漱石君が今の地位は、彼の地位としては、低きに過ぎても高きに過ぎないことは明白である。然れば今の地位に漱石君がすわるには、何の政策を弄するにも及ばなかったと信ずる。 二、社交上の漱石 二度ばかり逢ったばかりであるが、立派な紳士であると思う。
「夏目漱石論」森鴎外(青空文庫)
末尾部(原文より)
朝日新聞の文芸欄にはいかにも一種の決まった調子がある。その調子は党派的態度とも言えば言われよう。スバルや三田文学がそろそろ退治られそうな模様である。しかしそれはこの新聞には限らない。生存競争が生物学上の自然の現象なら、これも自然の現象であろう。 八、創作家としての伎倆 少し読んだばかりである。しかし立派な伎倆だと認める。 九、創作に現れたる人生観 もっと沢山読まなくては判断がしにくい。 十、その長所と短所 今まで読んだところでは長所が沢山目に附いて、短所と云う程のものは目に附かない。
「夏目漱石論」森鴎外(青空文庫)
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