納豆の茶漬け(北大路魯山人)のあらすじ・登場人物
納豆は練れば練るほど美味くなる
- 文字数
- 1,216字
- 読了目安
- 約2分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
納豆は三百回以上練れ——北大路魯山人が、納豆の茶漬けという「意想外に美味い」食べ方を、ねり方の手順から説き明かした一編。醤油をほんの数滴ずつ落としては練りかえすという執拗さに、この美食家の食への姿勢がそのまま出ている。短いながら、実践してみたくなる一文である。
あらすじ
納豆の茶漬けは意想外に美味いものであるが、ほとんど人の知らないところである。食通のあいだでもこれを知る人は意外に少ない——そう書き出される。自分の発明ではないのに世間がこれを知らないのはふしぎだ、と魯山人は言う。まず説かれるのは「納豆の拵え方」、すなわち練り方である。このねり方がまずいと納豆の味は出ない。器に出した納豆に何も加えず、そのまま二本の箸でよく練りまぜる。すると糸が多くなり、蓮から出る糸のようなものがふえて、かたくて練りにくくなってくる。この糸を出せば出すほど納豆は美味くなるのだから、不精をせず手間を惜しまず、極力ねりかえすべきである。かたく練り上げたら醤油を数滴落としてまた練る。また数滴落として練る。ほんの少しずつ醤油をかけては練ることを繰り返し、糸のすがたがなくなってどろどろになったところへ、辛子を加える。こうしてできた納豆を熱い飯にのせ、上から熱い茶を注ぐ——それが納豆の茶漬けである。分量や火加減ではなく、ひたすら手間を惜しむなという一点に説明のすべてが集中しており、短い文章のなかに魯山人という人の食への構えがそのまま現れている。
冒頭部(原文より)
納豆の茶漬けは意想外に美味いものである。しかも、ほとんど人の知らないところである。食通間といえども、これを知る人は意外に少ない。と言って、私の発明したものではないが、世上これを知らないのはふしぎである。
「納豆の茶漬け」北大路魯山人(青空文庫)
末尾部(原文より)
かたく練り上げたら、醤油を数滴落としてまた練るのである。また醤油数滴を落として練る。要するにほんの少しずつ醤油をかけては、ねることを繰り返し、糸のすがたがなくなってどろどろになった納豆に、辛子を加える。
「納豆の茶漬け」北大路魯山人(青空文庫)
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