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お茶漬けの味(北大路魯山人)のあらすじ・登場人物

茶漬けから説く食の本質

北大路魯山人 

文字数
1,912字
読了目安
約4分
表記
新字新仮名
種別
随筆

この作品について

北大路魯山人が、簡素な茶漬けを入り口に「食」の本質を語る随筆。料理は財力や年齢、そして育った環境によって好みが大きく分かれるものだとし、贅沢に飽きた者がふと求める簡単な美味の代表として茶漬けを取り上げる。美味さは長年の習慣によって初めて分かるものだと説きつつ、正直に自分の肉体が求めるものを食べることこそ真の口福だと述べる、魯山人の食観がよく表れた一編。

あらすじ

魯山人は、料理は財力の豊かな者と乏しい者とで天と地ほどの違いがあるとしながら、贅沢に飽きた者が簡単で美味いものを欲する瞬間があると説く。そんなときに求められる茶漬けにも、ただ塩と茶をかけたものから鯛茶漬けまで段階があり、沢庵や干もの、うなぎや牛肉など、その時々に肉体が欲するものを正直に食べることが自然で美味いのだと言う。美味い料理は長年の習慣がなければ分からず、費用をかけたからといって誰にでも分かるものではない――それは書画と同じく分かる人にのみ分かるものだと述べる。さらに、値の高い食物で育った人がそれを求めるのは環境ゆえであり、まぐろに金を出す東京人と出さない大阪人の対比を引きながら、食の好みは分相応であるべきで、いたずらに曲げてはならないと結論づける。

冒頭部(原文より)

 お茶漬けの話にかぎらないが、料理というものは、財力豊かな人のものと、財力不自由な人のものとでは、常に天と地ほどの相違がある。しかし、財力豊かで、刺身よかれ、牛肉よかれと、どんな材料でも、手に入れることに少しも不自由のない人が、贅沢料理に飽きて、簡単な美味いもので食事がしたいという場合がある。これは体内にお医者さまの言う栄養が充ち満ちて、生理上、栄養が不必要になった時だ。かような時、茶漬けで飯が食いたいということになる。

「お茶漬けの味」北大路魯山人(青空文庫)

末尾部(原文より)

 また食いものが、美味いものだけ食えるか、不味いものしか食えないとかいうのは、その人の育った環境のせいであるから、これをいたずらに曲げてはならない。分相応でなければならぬ。もしそうでなければ、食いものの話はできない。口福は得られないということになってしまう。前置きはこのくらいにして、実際の話に移ろう。

「お茶漬けの味」北大路魯山人(青空文庫)

名文

茶漬けを食いたいと要求する肉体が、自分の好きな茶漬けを食えたらこんな幸せはあるまい。これがすなわち栄養本位と言えよう。

魯山人『お茶漬けの味』の一節。値段で選ばず、そのときの体が求めるものを食べるのが美味しさだという、美食家らしい考えがうかがえる。

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原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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