料理メモ(北大路魯山人)のあらすじ・登場人物
美食はふぐにとどめを刺す
- 文字数
- 3,033字
- 読了目安
- 約6分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
「美食はふぐにとどめを刺す」——星岡茶寮を率いた美食家・北大路魯山人が、鮎・鯛・すっぽん・河豚といった素材ごとに、旬と選び方と食べ方を箇条書きで書きつけた覚え書き。断定に次ぐ断定で綴られる短い一行一行に、魯山人の食に対する容赦のなさが凝縮されている。
あらすじ
「*食べ頃はあゆのとれ出した若あゆから七月初旬まで」——鮎の項からこの覚え書きは始まる。さばのように大きくなったものはまずい、卵を持つまでが一等美味い。産地はめいめいお国自慢をしているが、結局はとれたての新鮮なものをすぐ食べること。はらわたを抜かない「はらもち」にかぎるが、東京に来るものは九分九厘抜いてある。活鮎の刺身は洗い作りの王で、一尾から四切れか六切れ。生きのいいものは塩焼き、悪いものは照り焼き。塩焼きは頭から食え、頭の中のエキスがうまい——と、断定が続く。以下、鯛、鰹、すっぽん、河豚といった素材ごとに、旬・選び方・下ごしらえ・食べ方が箇条書きで示されてゆく。すっぽんの吸い方は京都の大市式が一等で、昆布だしもかつおだしもまったく不用。煮方は水八に酒二、薄口醤油を少し。そして最後に置かれるのが河豚である。「美食はふぐにとどめを刺す。その証拠にはふぐが出ると他のものは食えぬ」。ふぐの刺身に優る刺身はない、身皮の間の「遠江」というところは皮より美味い、ふぐの美味さはすっぽんなどの比ではない——そう言い切ったうえで、「下関のふぐには危険なし」と付け加える。ふぐには酒や煙草のような、止められない普通の味以外の味がある、と結ばれる。
冒頭部(原文より)
鮎 *食べ頃はあゆのとれ出した若あゆから七月初旬まで。さばのように大きく成長したのはまずい。卵子を持つまでが一等美味。 *あゆの産地ではめいめいお国自慢をしているが、結局はだいたいとれたての新鮮なのをすぐ食べること。
「料理メモ」北大路魯山人(青空文庫)
末尾部(原文より)
河豚 *美食はふぐにとどめを刺す。その証拠にはふぐが出ると他のものは食えぬ。 *ふぐの刺身に優る刺身はない。 *ふぐの美味さはすっぽんなどの比でなく、いかなる美食も比べられない。 *ふぐには酒、煙草のような一種の止められない普通の味以外の味がある。
「料理メモ」北大路魯山人(青空文庫)
原文を読む
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