思い出草(岡本綺堂)のあらすじ・登場人物
元園町の移り変わり
- 文字数
- 5,303字
- 読了目安
- 約11分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
岡本綺堂が、三十年住んだ麹町元園町の移り変わりを少年時代の記憶から語る随筆。1910年(明治43年)11月と翌年1月の「木太刀」に発表された。赤蜻蛉、西郷星、湯屋の二階、紙鳶や獅子舞、江戸の残党など、八つの小景に消えゆく江戸の名残が映る。
あらすじ
筆者は麹町元園町に三十年ほど住み、秋晴れの朝に町を見渡して昔を懐かしむ。草原に蛇や狐が出た幼い頃の元園町、赤蜻蛉が雲霞のように飛んだ秋、料理屋や芸妓屋があった町並み、ランプと行灯で暗かった夜道を語る。続いて西南戦争のころの西郷星や西郷鍋、竹橋騒動の夜の記憶、石榴口のあった湯屋の二階、正月に紙鳶と羽根つきで賑わった大通りと獅子舞、おでん屋や大道で字を書く姿に身を落とした旧幕臣、長唄の師匠の一家の離散などを順に書き留める。どの話も、便利になる一方で風情や人情が失われていく世の変化を、静かな惜別の目で見つめている。
登場人物
- 杵屋お路久(きねやおろく) 麹町三丁目の長唄の師匠。一家は離散した。
- お花 お路久の娘で評判の美人。明治19年頃のコレラで死んだ。
- 三宅花圃(みやけかほ) お路久の門弟。
- 竹内さん 宮内省の侍医。新年に獅子舞を呼び、近所の子供に見せた。
冒頭部(原文より)
私は麹町元園町一丁目に約三十年も住んでいる。その間に二、三度転宅したが、それは単に番地の変更に止まって、とにかくに元園町という土地を離れたことはない。このごろ秋晴の朝、巷に立って見渡すと、この町も昔とは随分変ったものである。懐旧の感がむらむらと湧く。
「思い出草」岡本綺堂(青空文庫)
末尾部(原文より)
長唄の師匠と牛乳商、自然なる世の変化を示しているのも不思議である。
「思い出草」岡本綺堂(青空文庫)
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