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水の女(折口信夫)のあらすじ・登場人物

水辺に現れる巫女たち

折口信夫 1927年(昭和2年)9月 「民族」

文字数
18,540字
読了目安
約37分
表記
新字新仮名

この作品について

折口信夫が、古代の詞章に現れる水の女、水辺の巫女の姿をたどった論考。語句の用語例から出発し、水に関わる女神や乙女の信仰を論じる。折口民俗学の方法がよく表れた代表的な論文の一つ。

あらすじ

論は「古代詞章の上の用語例の問題」から始まる。口頭伝承の古代詞章は、語句や表現の癖が特殊なものほど早く固定するため、文字記録以前にすでに時代時代の言語情調や合理観が入り込んでいることを考えなければならないと述べる。そして、神聖観に護られて伝わる語句をたよりに、水辺に現れる女、水の女の姿を探っていく。終わりには、若い神たちが眷属を引き連れ、田植えのすむまで居て、さなぶりを受けて帰ること、群行する神が簔を着て笠に顔を隠し、昔の「おに」の姿であったことが語られる。

冒頭部(原文より)

一 古代詞章の上の用語例の問題  口頭伝承の古代詞章の上の、語句や、表現の癖が、特殊な――ある詞章限りの――ものほど、早く固定するはずである。だから、文字記録以前にすでにすでに、時代時代の言語情調や、合理観がはいってくることを考えないで、古代の文章および、それから事実を導こうなどとする人の多いのは、――そうした人ばかりなのは――根本から、まちごうた態度である。

「水の女」折口信夫(青空文庫)

末尾部(原文より)

 このながめいみに入った標は、宮廷貴族の家長の行うたみづのをひもや、天の羽衣ようの物をつけることであった。後代には、常もとりかくようになったが、これは田植えのはじまるまでのことで、いよいよ早苗をとり出すようになると、この物忌みのひもは解き去られて、完全に、神としてのふるまいが許される。それまでの長雨忌みの間を「馬にこそ、ふもだしかくれ」と歌われた繋・絆(すべて、ふもだし)の役目をするのが、ひもであった。こういう若い神たちには、中心となる神があった。これら眷属を引き連れて来て、田植えのすむまで居て、さなぶりを饗けて還る。この群行の神は皆簔を着て、笠に顔を隠していた。いわば昔考えたおにの姿なのである。

「水の女」折口信夫(青空文庫)

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