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信太妻の話(折口信夫)のあらすじ・登場人物

狐の女房の話の来歴

折口信夫 1924年(大正13年) 「三田評論」

文字数
25,502字
読了目安
約51分
表記
新字旧仮名

この作品について

折口信夫が、「葛の葉」の名で知られる信太妻の伝説を、芸能と民俗の面から論じた文章。猿芝居で見た葛の葉の子別れの思い出から始め、狐女房の話が成立した背景を探る。

あらすじ

今から二十年も前、青年らしい感傷にふけりがちだった頃、筆者の通う学校は靖国神社の近くにあった。招魂祭にはよく足を運び、あるとき猿芝居で「葛の葉の子別れ」を見た。猿回しが、抒情的な地の文を謡ううちに、葛の葉狐に扮した猿が、右顧左眄の身ぶりをした。その記憶から、信太妻の話がどのように伝えられ、芸能に取り入れられたかを考える。結びで、信太妻という表題もいつから始まったか分からず、異族の村から来た妻という意味を含んでいるようなのもおもしろいと述べる。

冒頭部(原文より)

     一 今から二十年も前、特に青年らしい感傷に耽りがちであつた当時、私の通つて居た学校が、靖国神社の近くにあつた。それで招魂祭にはよく、時間の間を見ては、行き/\したものだ。今もあるやうに、其頃からあの馬場の北側には、猿芝居がかゝつてゐた。ある時這入つて見ると「葛の葉の子別れ」といふのをしてゐる。猿廻しが大した節廻しもなく、さうした場面の抒情的な地の文を謡ふに連れて、葛の葉狐に扮した猿が、右顧左眄の身ぶりをする。

「信太妻の話」折口信夫(青空文庫)

末尾部(原文より)

「帰らうやれ、元の古巣へ」と言ふのは、葛の葉物には、つき物の小唄の文句である。こんなところにも「妣が国」の俤は残つて居た。 信太妻と言ふ表題も、実は、いつからはじまつたものとも知れぬ。本文には見えぬ語なのである。此にも由来はありさうである。其上、此名が、異族の村から来た妻、と言ふ意を含んで居る様なのもおもしろいと思ふ。

「信太妻の話」折口信夫(青空文庫)

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