幼い頃の記憶(泉鏡花)のあらすじ・登場人物
船で見た女の面影
- 文字数
- 2,221字
- 読了目安
- 約4分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
泉鏡花の短い随筆。幼いころ、母に連れられて乗った船の中で見た、友禅を着た淋しげな若い女の面影を語り、それが夢なのか、前世の因縁なのかと思いめぐらす。明治45年(1912)4月、「新文壇」に掲載された。
あらすじ
人から受けた印象は、幼い目に刻まれたものほど記憶に残る、という述べ出しから始まる。語り手は五つのころ、母に抱かれて乗った船の中で、友禅縮緬を着た十七ほどの美しい女を見た。人々が賑やかに話すなか、一人隅で沈んだ顔をしていた女に、語り手は話しかけようと近づいたが、女は何も言わなかった。この記憶は、十二、三歳の秋の夕暮れに突然よみがえった。夢だったのか、生まれる前の記憶なのか、今も判断がつかない。ただ、道で似た姿の女を見かけるたびに胸が躍り、いつかどこかでその女にもう一度会えると信じている、と結ぶ。
冒頭部(原文より)
人から受けた印象と云うことに就いて先ず思い出すのは、幼い時分の軟らかな目に刻み付けられた様々な人々である。
「幼い頃の記憶」泉鏡花(青空文庫)
末尾部(原文より)
若し、その女を本当に私が見たものとすれば、私は十年後か、二十年後か、それは分らないけれども、兎に角その女にもう一度、何所かで会うような気がしている。確かに会えると信じている。
「幼い頃の記憶」泉鏡花(青空文庫)
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