Resignation の説(森鴎外)のあらすじ・登場人物
文壇での自分の立場は諦め
- 文字数
- 2,117字
- 読了目安
- 約4分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
1909年(明治42年)12月に発表された談話。現代の思想や新しい作者の思想について話すよう求められた鴎外が、自分の立場を「resignation(諦め)」という語で説明する。田山、島崎、正宗らが活躍する文壇で下座に置かれても平気で、愚痴や厭味と取られるのは批評家の思想の貧弱さの表れだと述べ、談話が本人の考えとは違って公表されがちなことへの注意も添える。
あらすじ
鴎外は、現代の思想や新しい作者の思想について話せと言われるのは迷惑だと始める。現在の文壇で活動している田山、島崎、正宗、小山内、永井らの下風に立って不平を懐いているとみなされ、何を言っても愚痴や厭味と取られるのが常だからである。しかし鴎外自身は、彼らが自分より巧くても構わず、下座に座れと言われても平気でお辞儀をするほど、不平がない。この心持ちを言い表す語として、鴎外は「resignation」を選ぶ。自分は文芸だけでなく世の中のどの方面でもこの心持ちでいる、という。最後に、談話は校正を約束しても履行されず、本人の考えと違って公にされることが多いので、この話はそのまま出してほしいと頼む。
冒頭部(原文より)
現代の思想とか、新しい作者の発表している思想とか云うものについて話せというのですか。それは私の立場として頗る迷惑です。 もし私が現に批評壇に立っている諸君と同一な思想を持っていたなら、別にそれを発表する必要がないわけでしょう。もし変った思想を持っていたなら、それを発表した結果がどうなるでしょうか。
「Resignation の説」森鴎外(青空文庫)
末尾部(原文より)
どうぞこんな下らない話でも、出すならそっくり出して下さい。此頃は談話の校正をさせて貰う約束をしても、ほとんど全くその約束が履行せられないことになって来ました。話には順序や語気があって、それで意味が変って来ます。先ず此頃談話して公にせられるものは、多くは本人の考とは違うものだと承知していた方が確なようです。先日の文章世界では千葉君に気の毒な思をしましたよ。どうぞそんな間違の無いように、この話はこのままそっくり出して下さい。
「Resignation の説」森鴎外(青空文庫)
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