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詩の原理(萩原朔太郎)のあらすじ・登場人物

詩とは何か、十年をかけた原理論

萩原朔太郎 1928年(昭和3年)12月

文字数
153,616字
読了目安
約5時間7分
表記
新字新仮名

この作品について

「月に吠える」の詩人・萩原朔太郎が、十年の格闘の末に書き上げた本格的な詩論。詩とは何か、内容と形式とは何かを根本から問い直し、主観と客観、浪漫主義と写実主義、東洋と西洋という対立軸で文学の全領域を体系的に整理する。日本語で書かれた詩の原理論としては、いまも並ぶもののない一冊である。

あらすじ

「本書を書き出してから、自分は寝食を忘れて兼行し、三カ月にして脱稿した。しかしこの思想をまとめる為には、それよりもずっと永い間、殆ど約十年間を要した」——序で朔太郎は、室生犀星らと出した雑誌「感情」の予告にすでに本書の近刊広告を出していたこと、その後二千枚近い原稿を書いては捨てたことを告白する。認識の岩を一つ切りぬけばまた次の岩が現れ、絶望のどん底を何度も味わったが、狂犬のように執念深く問題に囓じりついて、ついに書き終えたのだと。本論は「内容論」と「形式論」の二部に大きく分かれる。内容論では、文学の内容を「主観」と「客観」に大別し、そこから浪漫主義と写実主義、抒情詩と叙事詩、感情と知性という対立を導き出す。形式論では、韻文と散文、定型詩と自由詩の関係を論じ、日本語という言語の性質から自由詩がいかにして必然となったかを説く。さらに東洋と西洋の詩、俳句と短歌、和歌の伝統と近代詩の断絶まで論は及び、日本文学全体を一つの座標のなかに位置づけようとする。跋にあたる部分で朔太郎は、これまで自分の詩論に反対した人々の大部分は根柢の立場において自分を誤解している、と述べ、反対意見を持つ読者にこそ本書を読んでほしい、そのうえで堂々と挑戦してきてほしいと呼びかけている。

冒頭部(原文より)

序  本書を書き出してから、自分は寝食を忘れて兼行し、三カ月にして脱稿した。しかしこの思想をまとめる為には、それよりもずっと永い間、殆ど約十年間を要した。健脳な読者の中には、ずっと昔、自分と室生犀星等が結束した詩の雑誌「感情」の予告に於て、本書の近刊広告が出ていたことを知ってるだろう。実にその頃からして、自分はこの本を書き出したのだ。

「詩の原理」萩原朔太郎(青空文庫)

末尾部(原文より)

 故に僕の望むところは、僕のすべての読者諸君、特に反対意見を持たれる諸君が、好奇心からでも、是非今度の書物を読んでもらいたいことである。それを一応読まれた上で、もし尚反対の意見があったら、その時こそ遠慮なく、正面から僕に挑戦して来てもらいたい。僕は常に「真理」を愛し、議論の「勝敗」の如きを意に介しない。

「詩の原理」萩原朔太郎(青空文庫)

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