病牀苦語(正岡子規)のあらすじ・登場人物
痛みの中でしゃべり続ける子規
- 文字数
- 11,031字
- 読了目安
- 約22分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
死の半年ほど前、激しい痛みと麻痺剤に頼る日々のなかで、子規がしゃべるように書き継いだ随筆。身動きもできない苦しみ、かつての気取りと今の意気地なさ、ホトトギス同人の句への評など、順序を立てずに語る。『病牀六尺』と並び、晩年の子規の素顔を伝える。
あらすじ
冒頭で子規は、痛みで身動きもできず、毎日二、三服の麻痺剤で暫時の愉快を得ている有様で、考え事も書くことも順序が立たないが、黙っているのはなお苦しいので少ししゃべってみたいと断る。昔は少し気取って悟っているつもりだったが、病気が劇しくなり、背中から腰にかけて地獄の鬼の責めのような痛みが二六時中続く今は意気地なしになったと自嘲する。話は苦痛の描写から、病床での感じ方へと脈絡なく移っていく。後半には『ホトトギス』の同人たちの句を具体的に挙げた批評が並び、ある人の句は巧みだが変化に乏しい、微細な趣向の趣味を会得していないようだ、などと忌憚なく評している。
冒頭部(原文より)
○この頃は痛さで身動きも出来ず煩悶の余り精神も常に穏やかならんので、毎日二、三服の痲痺剤を飲んで、それでようよう暫時の痲痺的愉快を取って居るような次第である。考え事などは少しも出来ず、新聞をよんでも頭脳が乱れて来るという始末で、書くことは勿論しゃべることさえ順序が立たんのである。それでもだまって居るのは尚更苦しくて日の暮しようがないので、きょうは少ししゃべって見ようと思いついた。例の秩序なしであるから、そのつもりで読んで貰いたい。
「病牀苦語」正岡子規(青空文庫)
末尾部(原文より)
格堂の句は旨い事は実に旨いものであるが、その句法が一本筋であるだけにいくらか変化に乏しい処がある。 このほか鳴雪、四方太、紅緑、等諸氏の句については近来見る処が少ないのでわざと評を省いて置く。〔『ホトトギス』第五巻第八号 明治35・5・20 二〕
「病牀苦語」正岡子規(青空文庫)
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