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我等の一団と彼(石川啄木)のあらすじ・登場人物

不平連の記者たちと彼

石川啄木 

文字数
36,075字
読了目安
約1時間12分
表記
旧字旧仮名
種別
小説

この作品について

石川啄木の短篇。新聞社の社会記者として過ごした日々を踏まえ、不平を共有する仲間たちの小さな党派と、そこに加わらなかった一人の「彼」を描く。啄木自身の釧路・函館・小樽での新聞記者経験が反映され、酒席での議論や、結婚をめぐる当時の男女観を語る会話が、明治末の知識青年の気分を伝える。

あらすじ

人が大勢集まると色分けが生まれる。語り手の「私」がいたT新聞の社会記者の中にも、五、六人の「不平連」がいた。主義を立てたわけでもないが、往来し、内職の安著述を分け合い、時々集まって飲み、勝手な熱を吹いて夜を更かす。その中に、一団とは少し違う位置にいる「彼」がいる。酒席では、夫婦という古い観念が現状と調和を失っているという議論が交わされ、男たちが口では婦人の覚醒を言いながら、そうなることを望んでいないという皮肉も語られる。結びでは、季節が変わり、私は病友の松永に新橋で別れて以来初めての手紙を書く。

冒頭部(原文より)

      一  人が大勢集つてゐると、おのづから其の間に色分けが出來て來る――所謂黨派といふものが生れる。これは何も珍らしいことではないが、私の此間までゐたT――新聞の社會記者の中にもそれがあつた。初めから主義とか、意見とかを立てゝ其の下に集つたといふでもなく、又誰もそんなものを立てようとする者もなかつたが、ただ何時からとなく五、六人の不平連がお互ひに近づいて、不思議に氣が合つて、そして、一種の空氣を作つて了つたのだ。

「我等の一団と彼」石川啄木(青空文庫)

末尾部(原文より)

 家へ歸つて來ると、何の理由もなく私は机の邊を片附けた。そして座蒲團から、縁先に吊した日避けの簾まで、すべて夏の物を藏はせて了つた。嬉しいやうな、新しい氣持があつた。さうして置いて、私は其の夜、新橋で別れて以來初めての手紙を、病友松永の爲に書いた。

「我等の一団と彼」石川啄木(青空文庫)

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