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手紙 三(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物

顕微鏡で見えないものを思う

宮沢賢治 

文字数
732字
読了目安
約1分
表記
新字新仮名
種別
随筆

この作品について

「手紙」の連作の一つで、顕微鏡の倍率と見えるものの限界を語る短い文章。光の波長から分子の大きさまで具体的な数字を挙げて説明し、目に見えない世界を知るとはどういうことかを考える。農学校の教師でもあった賢治の科学者としての顔と、見えないものを感じ取る詩人としての顔が重なる。

あらすじ

中学校などにある顕微鏡は六百倍から八百倍ほどで、蝶の翅の鱗片や馬鈴薯の澱粉粒ははっきり見えるが、細菌はよく分からない。千倍では下のレンズを油に浸して光を集め、二千倍の顕微鏡は数が少なく、調節できる人も多くない。最高で二千四百倍ほどだが、人の目に感じる光の波長より小さなものの形が完全に見えるはずはない。超絶顕微鏡を使えば存在だけは光る点として見えるものの、分子の大きさは水素で〇・〇〇〇〇〇〇一六ミリ、砂糖の一種でも〇・〇〇〇〇〇〇五五ミリと計算され、形や構造は見えない。それなのに、このような、あるいはもっと小さなものまではっきり見て誤らない人は、むかしから少なくない、と文章は続く。

冒頭部(原文より)

普通中学校などに備え付けてある顕微鏡は、拡大度が六百倍乃至八百倍ぐらいまでですから、蝶の翅の鱗片や馬鈴薯の澱粉粒などは実にはっきり見えますが、割合に小さな細菌などはよくわかりません。千倍ぐらいになりますと、下のレンズの直径が非常に小さくなり、従って視野に光があまりはいらなくなりますので、下のレンズを油に浸してなるべく多くの光を入れて物が見えるようにします。

「手紙 三」宮沢賢治(青空文庫)

末尾部(原文より)

計算されていますから私共は分子の形や構造は勿論その存在さえも見得ないのです。 しかるに、このような、或は更に小さなものをも明に見て、すこしも誤らない人はむかしから決して少くありません。この人たちは自分のこころを修めたのです。

「手紙 三」宮沢賢治(青空文庫)

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原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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