アプリで読む

無料・登録不要

橋の上の自画像(富永太郎)のあらすじ・登場人物

夜の橋の上のパイプの煙

富永太郎 1924年(大正13年) 「山繭」

文字数
253字
読了目安
約1分
表記
新字旧仮名

この作品について

富永太郎が「山繭」創刊号(1924年)に発表した詩。夜の橋の上で、自分のパイプの煙と、街の景物と向き合う自画像のような作品。仁丹の広告塔、ガードの鉄柱にとまる蛾、交番の赤ランプなど、大正末期の東京の風景が、鋭い言葉で切り取られる。

あらすじ

「今宵私のパイプは橋の上で/狂暴に煙を上昇させる」と始まる。水びたしの荷足は、頬被りした船頭たちを載せて昇天しなければならず、電車は花車の亡霊のように音もなく夜に拡散する。「靴穿きで木橋を蹈む淋しさ!」と括弧で挟まれた一行のあと、語り手は明滅する「仁丹」の広告塔を憎み、すべての詞華集とカルピスソーダ水を嫌うと語る。「哀れな欲望過多症患者が人類撲滅の大志を抱いて最後を遂げる夜」に、蛾に向かって、ガードの鉄柱にとまって震え、夥しく産卵して死ぬべしと呼びかける。結びでは、交番の赤ランプは、おまえの看護には過ぎたものだ、と皮肉に述べる。

冒頭部(原文より)

今宵私のパイプは橋の上で 狂暴に煙を上昇させる。 今宵あれらの水びたしの荷足は すべて昇天しなければならぬ、 頬被りした船頭たちを載せて。 電車らは花車の亡霊のやうに 音もなく夜の中に拡散し遂げる。 (靴穿きで木橋を蹈む淋しさ!)

「橋の上の自画像」富永太郎(青空文庫)

末尾部(原文より)

哀れな欲望過多症患者が 人類撲滅の大志を抱いて、 最後を遂げるに間近い夜だ。 蛾よ、蛾よ、 ガードの鉄柱にとまつて、震へて、 夥しく産卵して死ぬべし、死ぬべし。 咲き出でた交番の赤ランプは おまへの看護には過ぎたるものだ。

「橋の上の自画像」富永太郎(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品