焦燥(富永太郎)のあらすじ・登場人物
渇く寝台と煎薬を煎じる母
- 文字数
- 174字
- 読了目安
- 約1分
- 表記
- 新字旧仮名
この作品について
富永太郎の代表的な詩のひとつ。病床の「寝台」が主役で、母親が煎薬を煎じに行く光景を、冒頭と結びで繰り返す。熱と渇きに耐える肉体を、蠅のうなりや犬の巣箱のイメージとともに描き、病床にある者の切迫を伝える。
あらすじ
「母親は煎薬を煎じに行つた/枯れた葦の葉が短かいので。」で始まる。光が掛布の皺を打つとき、寝台は「あまりに金の唸き」であった。寝台は犬の巣箱の罪をのり超え、大空の堅い眼の下に幅びろの青葉を集め、棄てられた藁の熱を吸い、巷の立ちのぼる熱気のなか、青ぐろい額の上の蠅のうなりのなかにある。寝台は「のど渇き」、求めたのに求めたのに、と繰り返される。最後に、冒頭と同じ二行が戻り、「枯れた葦の葉が短かいので/母親は煎薬を煎じに行つた。」で閉じられる。短い詩のなかに、病の高熱と渇き、母への依存が凝縮されている。
冒頭部(原文より)
母親は煎薬を煎じに行つた 枯れた葦の葉が短かいので。 ひかりが掛布の皺を打つたとき 寝台はあまりに金の唸きであつた 寝台は いきれたつ犬の巣箱の罪をのり超え 大空の堅い眼の下に 幅びろの青葉をあつめ
「焦燥」富永太郎(青空文庫)
末尾部(原文より)
棄てられた藁の熱を吸ひ たちのぼる巷の中に 青ぐろい額の上に むらがる蠅のうなりの中に 寝台はのど渇き 求めたのに求めたのに 枯れた葦の葉が短かいので 母親は煎薬を煎じに行つた。
「焦燥」富永太郎(青空文庫)
原文を読む
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