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鳥影(泉鏡花)のあらすじ・登場人物

修善寺の池に来る翡翠

泉鏡花 1928年(昭和3年)1月

文字数
1,292字
読了目安
約3分
表記
旧字旧仮名
種別
随筆
舞台
  • 静岡県

この作品について

修善寺の温泉宿を舞台にした、ごく短い随筆風の小品。末尾に「昭和三年一月」とある。雨上がりの朝、家内が別荘の庭の池で見た美しい青い鳥の話をきっかけに、旅の宿での夫婦のやりとりが軽やかに描かれる。鳥の名を翡翠と教える場面に、鏡花らしい言葉遊びの趣がある。

あらすじ

雨の晴れた朝、修善寺の温泉宿に滞在する語り手は、同じ宿の婦人と桂川の向こうの花畑へ出かけた妻から、宿の別荘のあき屋を見せてもらった話を聞く。庭の古池のほとりで、背が青く、胸のあたりが紅い、長い嘴の美しい鳥が二羽つがいで遊んでいたという。妻は名前が分からないと言うが、床に寝転んでいた語り手は川柳の本を枕に、「それは翡翠さ」と答える。翡翠は、女が欲しがる宝石の翡翠と同じ字だと妻に冗談を言い、語り手は起き上がる。鴛鴦の濃艶と違い、翡翠は凄麗で意気な暮らしぶりだと聞き、見たくなる。狩猟は知らないが、山の幸は姿を見、そのもの語りを聞くことにあるのだと思う。

冒頭部(原文より)

 雨の晴れた朝である。修善寺の温泉宿、――館の家族の一婦人と、家内が桂川の一本橋向うの花畑へ連立つて、次手に同家の控の別莊――あき屋である――を見せて貰つた、と言つて話した。

「鳥影」泉鏡花(青空文庫)

末尾部(原文より)

 私は廣袖の襟を合はせて起きた。  鴛鴦は濃艷でお睦じい、が、聞いたばかりで、翡翠は凄麗にして、其の所帶は意氣である。見たくなつた。  私は狩獵を知らない。が、獲ものでない、山の幸は、其の姿を見、その、もの語を聞くのにある、と、思ひつゝ。……

「鳥影」泉鏡花(青空文庫)

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