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四谷怪談(田中貢太郎)のあらすじ・登場人物

そうか、そうであったか、鬼、外道

  • 怪奇

田中貢太郎 

文字数
7,260字
読了目安
約15分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

怪談の収集と再話に生涯を注いだ田中貢太郎が、四谷怪談の元となった実録「四谷雑談集」をもとに語り直した一編。鶴屋南北の芝居で知られる毒薬も幽霊も登場しない。疱瘡で容貌を損なったお岩が、婿養子の伊右衛門と与力・伊藤喜兵衛の仕組んだ企みによって家を追われ、真相を知って狂い出し、行方知れずとなる——そこから田宮家・伊藤家・秋山家を次々に襲う怪異と断絶を、記録を写すような淡々とした筆で連ねてゆく。四谷左門殿町の「妖怪邸」の由来を伝える、近代の怪談再話の代表的な一編である。

あらすじ

元禄年間、四谷左門殿町に住む御先手組同心・田宮又左衛門は、眼を患って勤めに不自由し、娘のお岩に婿養子を取って隠居したいと考えていた。だがお岩は二十一の春に疱瘡にかかり、顔の皮が剥けて渋紙のようになり、右の眼に星ができて醜い女となる。又左衛門の死後、朋輩たちは跡目相続のために婿を探すが、なり手がない。口才のある又市が連れてきたのは、摂州の浪人・伊右衛門という美男だった。三十俵二人扶持に有りつきたい伊右衛門は、妖怪のような花嫁を前にして怯みながらも式を挙げる。しかしお岩に大事にされるほど嫌悪は募った。そこへ与力の伊藤喜兵衛が、自分の妾で身重のお花を伊右衛門に押しつけようと持ちかける。喜兵衛の入れ知恵で伊右衛門は放蕩者を装って家財を持ち出し、困り果てたお岩は喜兵衛に言いくるめられて離縁を承知し、奉公に出た。ところが煙草屋の茂助から、伊右衛門がお花を妻に迎えたこと、それが三人の仕組んだ企みであったことを聞かされる。「鬼、外道」——お岩の形相は夜叉となり、そのまま狂い出して行方知れずとなった。やがて伊右衛門の家に怪異が起こりはじめる。

登場人物

冒頭部(原文より)

 元禄年間のことであった。四谷左門殿町に御先手組の同心を勤めている田宮又左衛門と云う者が住んでいた。その又左衛門は平生眼が悪くて勤めに不自由をするところから女のお岩に婿養子をして隠居したいと思っていると、そのお岩は疱瘡に罹って顔は皮が剥けて渋紙を張ったようになり、右の眼に星が出来、髪も縮れて醜い女となった。

「四谷怪談」田中貢太郎(青空文庫)

末尾部(原文より)

 その怪しい女の姿は翌朝また地爐の傍に見えた。その時小三郎はまだ眠っていたので小三郎の父の家から付けてある重左衛門と云う小男が見つけた。小三郎は起きてその話を聞いて縁の下を検べたが、黒猫が一ついたばかりで別に不思議もなかった。しかし、怪異が気になるので大般若経などを読んでもらったりしているうちに、これも病気になって歿くなったので秋山家も断絶した。そして、秋山と田宮の建物がとりこわしになったので、左門殿町の妖怪邸と云って好事者が群集した。

「四谷怪談」田中貢太郎(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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