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二た面(泉鏡花)のあらすじ・登場人物

黒猫がまとわりつく因縁

  • 怪奇

泉鏡花 

文字数
8,779字
読了目安
約18分
表記
旧字旧仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

泉鏡花の怪談。作中に寛政十年の年号が現れ、江戸の旗本屋敷を舞台に、本文の冒頭には「送り猫」の見出しがある。色仕掛けで娘を破滅させて逃げた男・元二が、道中で黒猫に出会い、江戸の屋敷奉公で御用人の若い御新造に言い寄ろうとする。その黒猫が離れずまとわりつく不気味さが、因縁話のように積み重なっていく。初出年月は図書カードに記載がない。

あらすじ

色仕掛けで娘お春の身を持ち崩させ、金を巻き上げて逃げた元二は、野宿をした瓜井戸の原で、糸を繰る車と猫の鳴き声の悪夢にうなされる。朝、橋の欄干で顔を洗うような黒猫に腹を立て、石を投げて耳に当てる。飯屋の縁の下から出た黒猫も、煙管の雁首で額を打つ。江戸に出た元二は、本所の旗本屋敷の用人・団右衛門方に奉公し、屋敷の女たちを次々に手玉に取る。ついには用人の若い御新造お君に近づき、歌を書かせた懐紙を仲間に見せびらかす。翌年、屋敷に出入りする黒猫が懐紙をくわえ、元二が火箸で打つと、左の目の下に疵ができる。それは瓜井戸で打った猫の疵と同じ場所だった。猫に絡みつかれて落ち着かぬ元二の傍らで、お君は病を理由に引き籠もり、実家へ戻ったのち自殺する。

登場人物

冒頭部(原文より)

話は別にある……色仕掛で、あはれな娘の身の皮を剥いだ元二と云ふ奴、其の袷に一枚づゝ帶を添へて質入れにして、手に握つた金子一歩としてある。  此の一歩に身のかはを剥がれたために可惜や、お春と云ふ其の娘は繼母のために手酷き折檻を受けて、身投げをしたが、其も後の事。件の元二はあとをも見ないで、村二つ松並木を一帳場で瓜井戸の原へ掛つたのが彼これ夜の八ツ過であつた。

「二た面」泉鏡花(青空文庫)

末尾部(原文より)

處へ、御新造お君さんが、病氣と云ふ事、引籠り、とあつてしばらく弗と姿が見えぬ。  と思ふと、やがて保養とあつて、實家方へ、歸つたのである。が、あはれ、此の婦人も自殺した。それは昔、さりながら、田舍ものの※々しいのは、今も何よりも可恐しい。

「二た面」泉鏡花(青空文庫)

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