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銭形平次捕物控 金色の処女(野村胡堂)のあらすじ・登場人物

平次の出世試し、命にかけても

  • ミステリ
  • 歴史

野村胡堂 1931年(昭和6年)4月 「オール讀物」

文字数
12,684字
読了目安
約25分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

1931年(昭和6年)、「オール讀物」に発表された「銭形平次捕物控」の記念すべき第一話。投げ銭の妙技で悪党に恐れられる若き岡っ引・銭形平次が、南町奉行与力の筆頭・笹野新三郎から、将軍家光を狙った毒矢の下手人を探せという無理難題を持ちかけられる。手がかりは、家光が鷹狩の帰りに立ち寄る大塚御薬園と、そこの本草家の娘お小夜。江戸中の美しい娘が次々と消え、全身に金箔を置かれた死体となって捨てられている事件と、やがて一本の線で結ばれてゆく。のちに女房となるお静との出会いも、この一編に描かれる。

あらすじ

南町奉行与力の筆頭・笹野新三郎が、岡っ引の銭形平次を呼んだ。雑司ヶ谷の鷹狩の折、将軍家光の陣笠をかすめて飛んだ毒矢の下手人を、次の御鷹野の日までに挙げよという。家光が鷹狩に執心するのは、帰りに立ち寄る大塚御薬園で、本草家・峠宗寿軒の娘お小夜の点てる薬湯を飲むのが楽しみだからだと聞き出した平次は、音羽の通りで「おん薬園へちまの水」「峠流秘薬色々」の看板を掲げる化粧品屋「唐花屋」に目をつける。両国の水茶屋の娘お静に頼んで客のふりをさせ、様子を探らせたが、お静は茶に仕込まれた薬で眠らされ、駕籠で御薬園へ運び込まれてしまった。この秋、江戸で評判の美しい娘が次々と姿を消し、数日後に全身へ金箔を置いた跡のある惨殺死体で見つかっていた——それがこれだったのだ。塀を越えて忍び込んだ平次は、天井裏の密室に閉じ込められ、床のギヤマンごしに広間の光景を覗くことになる。怪奇な魔像、黒衣の一団、そして台の上に立たされ、肌に金箔を置かれてゆくお静。御鷹野の日は明けようとしていた。

登場人物

冒頭部(原文より)

これは銭形平次の最初の手柄話で、この事件が平次を有名にしたのです。この頃お静はまだ平次の女房になっていず、ガラッ八も現われてはおりません。 一 「平次、折入っての頼みだ、引受けてくれるか」 「ヘエ――」  銭形の平次は、相手の真意を測り兼ねて、そっと顔を上げました。二十四五の苦み走った好い男、藍微塵の狭い袷に膝小僧を押し隠して、弥蔵に馴れた手をソッと前に揃えます。

「銭形平次捕物控 金色の処女」野村胡堂(青空文庫)

末尾部(原文より)

 銭形の平次はこれだけの仕事をして、将軍の命を狙う怨敵を平らげましたが、笹野新三郎に約束した御鷹野以前に曲者を挙げることが出来なかったのと、事件の性質が性質なので、表向きはその手柄に酬いられませんでした。しかし、家光の胸に銭形平次の名が印象深く記憶された事と、金色の処女――お静の愛を確り掴んだことだけで、若い平次は満足しきっておりました。

「銭形平次捕物控 金色の処女」野村胡堂(青空文庫)

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