破滅型・調和型とは

分類
その他
読み
はめつがたちょうわがた

私小説の作家と作品を、実生活と芸術との関わり方によって二つに分けて捉える文学史上の類型。伊藤整の『小説の方法』(昭和23年)と平野謙の評論「私小説の二律背反」(昭和26年)によって定着した。破滅型は、自然主義の系譜を引き、書くために自らの生活を危機に追い込み、貧窮や家庭の崩壊、酒や愛欲による破綻までもそのまま作品とする作家たちを指す。子を連れて家を追われる一日を描いた葛西善蔵の『子をつれて』(大正7年)、妻子を捨てた罪の意識に苛まれる男を描いた嘉村礒多の『業苦』(昭和3年)が代表とされ、牧野信一、戦後の太宰治・田中英光らもこの系譜に数えられる。調和型は、志賀直哉・尾崎一雄らのように、自己の内面を見つめながら実生活との調和に至り、その澄んだ境地を描く心境小説の書き手を指す。平野は、私小説が生活の危機を動機として書かれる以上、生活が調和すれば書く意欲は衰え、書き続けようとすれば生活が破れるという矛盾を指摘し、この二律背反に私小説の宿命を見た。

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