意識の流れとは

分類
文体・技法
読み
いしきのながれ

人間の意識が、論理的な順序とは関係なく、絶え間なく移り変わる様子をそのまま文章に写し取る小説の技法。アメリカの心理学者ウィリアム・ジェームズが『心理学原理』(1890年)で、意識は鎖のようにつながった断片ではなく川のように流れるものだとして用いた語を、文学に応用したものである。早い試みとして、フランスのエドゥアール・デュジャルダンの『月桂樹は切られた』(1887年)が挙げられ、ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』(1922年)、ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』(1925年)、マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』、フォークナーの『響きと怒り』などが代表例とされる。登場人物の内的独白が、現在、過去、連想、記憶のあいだを自在に行き来し、句読点や文法の約束事が崩されることもある。とくに『ユリシーズ』の最終章は、句読点をほとんど使わない一人の女性の長い独白で知られる。日本では、昭和初期に伊藤整がジョイスの『ユリシーズ』の翻訳に加わり、評論『新心理主義文学』(昭和7年)でこの方法を紹介して、堀辰雄らとともに「新心理主義」として実作でも試みた。新感覚派から出発した横光利一の『機械』(昭和5年)は、改行のほとんどない長い文章で、語り手の疑いと推測が渦を巻くように続いていく実験作として知られる。意識の流れの手法は、人物の内面を外からの説明でなく内側から描こうとする現代小説の方法に、大きな影響を残した。

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