新心理主義とは

分類
文芸思潮
読み
しんしんりしゅぎ

昭和初期、フランスのプルーストやアイルランドのジョイスら西洋前衛文学の影響のもと、人間の内面や意識の流れを精密に描き出そうとしたモダニズム文学の一潮流。批評家で作家の伊藤整が理論的な主導者で、ジョイスの『ユリシーズ』を翻訳するかたわら、評論『新心理主義文学』(昭和7年)でこの立場を打ち出した。フランス心理主義の小説やリルケ、ラディゲに学んだ堀辰雄は、聖家族の崩壊を描いた『聖家族』、軽井沢を舞台とする『美しい村』、婚約者の死を見つめた『風立ちぬ』などで、生と死や愛と喪失を透明な文体で内面から描き、この潮流の代表的な達成を残した。新感覚派から出発した横光利一も、意識の流れを取り入れた実験的な心理描写を追求した『機械』(昭和5年)でこれに接近している。感覚的な表現の革新を掲げた新感覚派に対し、新心理主義は人間の意識と心理の精緻な分析へと向かった点に特色がある。

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