心中天網島とは

分類
形式・ジャンル
読み
しんじゅうてんのあみじま

享保5年(1720年)12月、大坂の竹本座で初演された近松門左衛門の世話浄瑠璃。全三巻。大坂天満の紙屋の主人・治兵衛が、曽根崎新地の遊女・小春と深い仲になり、妻おさんと子らを抱えながら、義理と人情のあいだで追い詰められてゆく。上の巻の茶屋「河庄」の場では、小春が治兵衛の兄・孫右衛門の前で心中の約束を翻すそぶりを見せて愛想尽かしをするが、その裏には、おさんからひそかに身を引くよう頼む手紙を受け取っていたという事情があった。中の巻では、小春の真意を知ったおさんが、夫に小春を身請けさせようと着物まで質に入れて金を工面するが、そこへ来合わせたおさんの父・五左衛門が娘を連れ戻して離縁させてしまう。下の巻の道行「名残の橋づくし」では、大坂の橋の名を次々に詠み込みながら、二人が網島の大長寺へと向かう。家庭を持つ男の恋が、妻、遊女、親族との関係に巻き込まれ、女どうしの義理までが絡み合う様子を緻密に描き、近松の世話物の到達点の一つとされる。昭和44年(1969年)には篠田正浩監督によって映画化された。

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