世話物とは
- 分類
- 形式・ジャンル
- 読み
- せわもの
人形浄瑠璃・歌舞伎の演目のうち、同時代の町人の暮らしや市井の事件を題材とするもの。遠い過去の武家や公家を描く時代物と対をなす。人形浄瑠璃では、元禄16年(1703年)に近松門左衛門が実際の心中事件に取材して書いた『曾根崎心中』が最初の世話浄瑠璃とされ、それまで武将や英雄が主だった浄瑠璃に、庶民の恋と金の悩みを持ち込んだ。近松にはほかに、為替金の横領を描く『冥途の飛脚』(1711年ごろ)、『心中天網島』(1720年)、放蕩息子の殺人を描く『女殺油地獄』(1721年)などがあり、義理と人情の板ばさみになる庶民の悲劇を主題とした。歌舞伎でも、鶴屋南北『東海道四谷怪談』や幕末の河竹黙阿弥の作など、世話物は人気の演目となった。写実的な演出の濃いものは、とくに生世話物と呼ばれる。同時代の庶民の義理と情をそのまま舞台にのせる姿勢が、このジャンルの特色である。