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冥途の飛脚(近松門左衛門)のあらすじ・登場人物

封印切りの罪と恋の行方

  • 恋愛
  • 古典

近松門左衛門 1711年

文字数
17,031字
読了目安
約34分
表記
新字旧仮名
舞台
  • 大阪府
  • 奈良県

この作品について

近松門左衛門の人形浄瑠璃。1711年(正徳元年)頃に大坂・竹本座で初演された世話物で、上・中・下の三巻から成る。大坂の飛脚問屋に起きた、預かり金の横領事件を題材にしている。飛脚問屋・亀屋の養子の忠兵衛は、新町の遊女・梅川と深い仲になり、身請けの手付まで払っていた。ところが、梅川に田舎客の身請け話が持ち上がり、そのうえ新町の茶屋で友人の八右衛門に人前で身代を見下される。忠兵衛は、江戸の屋敷へ届けるはずだった三百両の為替金に手をかけ、二人は大坂を逃れて忠兵衛の故郷・大和の新口村へ向かう。人の金を預かる商人の信用と、恋に溺れた男の弱さを、一瞬の弾みに集めて描く。孫右衛門が泥田に転び、梅川が介抱する新口村の場面は、後に歌舞伎「恋飛脚大和往来」などにも作り替えられた。本書は「近代日本文学大系」第6巻(国民図書、1927年)による原文で、国立国会図書館が公開する底本の画像とOCRテキストを照らし合わせて起こし、収録した。

あらすじ

【上之巻】大坂・淡路町の飛脚問屋、亀屋の養子の忠兵衛は二十歳。商売は上手だが、新町の遊女・梅川に通いつめている。亀屋には、堂島の屋敷から三百両の為替金の催促が来て、丹波屋の八右衛門からも、江戸為替の五十両を届けよと使いが来る。養母の妙閑は、忠兵衛の鼻紙の使い方まで案じて嘆く。八右衛門に責められた忠兵衛は、梅川の身請けのために金を使い込んだことを打ち明けて、頭を下げる。八右衛門は、五十両の包みを妙閑の前で受け取ったことにして、忠兵衛を許す。その夜、為替の三百両が届き、忠兵衛は屋敷へ持って行くが、足は新町へ向かってしまう。【中之巻】新町の茶屋で、梅川は田舎客に身請けされそうになる身の上を語る。そこへ来た八右衛門が、忠兵衛の身代の小ささと不始末を、遊女たちの前でこき下ろす。二階で聞いた梅川は嘆き、駆けつけた忠兵衛は八右衛門と五十両を投げ合って争う。梅川の涙に気がのぼせた忠兵衛は、とうとう三百両の封を切り、梅川の身請けをすませる。罪の重さを知った二人は、夜の大和路へ逃げていく。【下之巻】冬の道行を重ね、二人は忠兵衛の故郷・新口村にたどり着く。忠兵衛の実の父・孫右衛門は、息子の詮議が来ていると聞いて、嘆いている。雨の中、孫右衛門が泥田に転ぶと、梅川が介抱し、父は嫁と知る。孫右衛門は路銀を渡して二人を逃がすが、親子の顔を合わせることはない。まもなく、二人は捕手に捕らえられ、孫右衛門は気を失う。

登場人物

冒頭部(原文より)

澪標浪速に咲くやこの花の、里は三筋に町の名も、佐渡と越後の間の手を、通ふ千鳥の淡路町、亀屋の世継忠兵衛、今年二十歳の上はまだ、四年以前に大和より、敷金持つて養子分。

「冥途の飛脚」近松門左衛門(青空文庫)

末尾部(原文より)

腰の手拭引絞り、めんない千鳥百千鳥、泣くは梅川河千鳥、水の流れと身の行方、恋に沉みし浮名のみ、難波に遺し留まりし。

「冥途の飛脚」近松門左衛門(青空文庫)

原文を読む

原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:「近代日本文学大系」第6巻 近松門左衛門集 上(国民図書、1927年)。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて起こし、本文だけを収録した(ルビ・註の印・曲節の指定・解題・註釈は省いた)。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。

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