道行とは

分類
文体・技法
読み
みちゆき

旅の道筋を、地名や景色を連ねながら美しい文で述べる文章。もとは謡曲や軍記物語に見られ、『太平記』の日野俊基が鎌倉へ下る場面(「俊基朝臣再関東下向事」)はその名文として知られる。近世の人形浄瑠璃と歌舞伎では、男女が心中や駆け落ちのためにたどる旅路を描く場面を指し、物語の見せ場となった。七五調を重ねた詞章を節にのせて語り、舞台では人形や役者が舞踊のように動く。近松門左衛門『曽根崎心中』の「此の世の名残夜も名残、死にに行く身をたとふれば」で始まる、徳兵衛とお初の道行は、世話物の道行の代表である。『心中天網島』の「名残の橋づくし」も、橋の名を次々に詠み込んで死出の旅を飾る。ほかに、歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』の「道行旅路の花聟」や『義経千本桜』の「道行初音旅」のように、物語の流れを離れて旅の景色と情を舞う場面としても独立して演じられる。道行は、浄瑠璃の詞章の華とされる。

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