軍記物語とは
- 分類
- 形式・ジャンル
- 読み
- ぐんきものがたり
中世に興った、戦乱と武士の興亡を描く物語文学。保元・平治の乱を題材とする『保元物語』『平治物語』に始まり、源平の争乱を描いた『平家物語』(13世紀成立)で頂点に達した。『平家物語』は、平清盛率いる平家一門の栄華と滅亡を「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」の名高い序で説き起こし、仏教的な無常観のもとに合戦と人間の運命を叙事詩的な和漢混淆文で語る。作者は未詳だが、盲目の琵琶法師が節をつけて語る「平曲」として全国に広まり、耳で聴く文学として庶民にも親しまれた。承久の乱を描く『承久記』、南北朝の動乱を描く『太平記』へと系譜は続き、室町時代には、源義経の生涯を語る『義経記』や、曾我兄弟の仇討ちを描く『曾我物語』のように、一人の英雄や一族の物語に焦点を当てる作品も生まれた。その語り物の伝統は幸若舞や、近世の浄瑠璃・歌舞伎・講談にも流れ込んだ。近代でも、吉川英治が『平家物語』を換骨奪胎した大長編『新・平家物語』(昭和25年〜)で、清盛を新しい時代を切り開く人物として描き直し、広く読まれた。吉川はさらに『私本太平記』で、足利尊氏の側から南北朝の動乱を描いている。