義経記とは
- 分類
- 形式・ジャンル
- 読み
- ぎけいき
源義経の生涯を描いた軍記物語。全八巻。作者は未詳で、南北朝時代から室町時代前期にかけて成立したと考えられている。『平家物語』が源平の合戦における義経の活躍を描くのに対し、この作品は合戦の場面をほとんど省き、前半では、幼い牛若丸が鞍馬寺で過ごし、奥州の藤原秀衡のもとへ下る少年時代を、後半では、兄・頼朝に疑われて京を追われ、吉野や北陸路を経て奥州へ逃れ、平泉の衣川で最期を迎えるまでを語る。武蔵坊弁慶をはじめとする家来たちの忠義や、愛妾・静御前が吉野で捕らえられ、鎌倉の鶴岡八幡宮で頼朝の前で舞を舞わされる場面が名高い。英雄の栄光よりも不遇と流浪に重きを置いて語るこの物語は、悲運の英雄に同情を寄せる「判官贔屓」の感情を広め、その源流となった。弁慶の機転で関を越える話は謡曲『安宅』を経て歌舞伎『勧進帳』に至り、ほかにも幸若舞、御伽草子、人形浄瑠璃、歌舞伎に「判官物」と呼ばれる多くの演目を生んで、『義経千本桜』(延享4年・1747年)などの題材ともなった。『曽我物語』と並んで、中世の英雄伝説を語り物の世界から読み物へと移した作品として位置づけられる。