経済学及び課税の諸原理(リカード)のあらすじ・登場人物
地代・利潤・労賃の法則
- 翻訳
- 文字数
- 318,489字
- 読了目安
- 約10時間37分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
イギリスの経済学者デイヴィッド・リカードが一八一七年に初版を出し、一八二一年の第三版で「機械について」の章を加えた主著の全訳。土地の生産物が地主・資本家・労働者の三階級に地代・利潤・労賃としてどう分けられるかを決める法則を経済学の主要問題に据え、商品の価値はその生産に要した労働の量で決まるという労働価値説、差額地代の理論、外国貿易における比較生産費の考え方などを、数値の例を用いた抽象的な推論で展開する。中盤以降は、各種の租税が最終的にだれの負担になるかを章ごとに検討する。訳者の吉田秀夫は一九三二年に春秋社の『世界大思想全集』で本書を訳しており、青空文庫の本文は、第三版を底本に全巻を改訳して一九四八年に同社から刊行したものである。
あらすじ
訳序と原著者序言、第三版への注意に続き、全三十二章からなる。第一章「価値について」では、使用価値と交換価値を区別し、交換価値は稀少な一部の品を除いて生産に費やされた労働の相対量で決まり、労働に支払われる報酬の多少には左右されないと論じ、資本の構成や耐久力の違いがこの法則をどう修正するか、不変の価値尺度は存在するかを検討する。第二章「地代について」では、地代は最も劣った耕地との収穫の差から生じ、富の増加の結果であって原因ではないとし、穀物の価値は最も不利な条件で費やされる労働量で決まると説く。続いて鉱山の地代、自然価格と市場価格、労賃、利潤を論じ、人口が増えて劣等地の耕作が進めば地代と労賃が上がって利潤が下がる傾向を導く。第七章「外国貿易について」では、二国がそれぞれ相対的に有利な品の生産に特化して交換すれば双方が利益を得ることを、イギリスの毛織物とポルトガルのぶどう酒の例で示す。第八章からは、粗生生産物・地代・十分の一税・地租・金・家屋・利潤・労賃などに対する租税や救貧税の帰着を順に分析する。後半では、価値と富の区別、蓄積が利潤と利子に及ぼす影響、輸出奨励金と輸入禁止、植民地貿易、総収入と純収入、通貨と銀行などを論じ、第三版で加えた「機械について」の章で、機械の導入が労働者階級に不利に働く場合があることを認める。最後の章ではマルサスの地代論を批判的に検討する。
冒頭部(原文より)
土地の生産物――すなわち地表から、労働、機械、及び資本の結合使用によって、得られるすべてのものは、社会の三階級の間に、すなわち土地の所有者、その耕作に必要な蓄財すなわち資本の所有者、及びその勤労によってこれを耕作する労働者の間に、分たれる。 しかし、社会の異なる諸階級においては、地代、利潤、及び労賃の名の下に、これらの諸階級の各々に割当てられるであろう所の土地の全生産物の比例は、全く異るであろうが、それは主として、土壌の現実の肥沃度に、資本の蓄積や人口に、そして農業において用いられる熟練や創意や器具に、依存するのである。
「経済学及び課税の諸原理」リカード(青空文庫)
末尾部(原文より)
マルサス氏は曰く、『製造業に用いられている生産的労働のいかなる等量も、決して、農業におけるが如き大なる再生産を惹起すことは出来ない、と正当にもアダム・スミスによって論ぜられている』と。もしアダム・スミスが価値を論じているのであるならば、彼は正しい。しかしもし彼が、富を論じているのであるならば、――これが重要な点である、――彼は誤っている。けだし彼自身富をもって、人生の必要品、便利品及び享楽品より成る、と定義しているからである。一組の必要品及び便利品は、他の組との比較を許さない。使用価値は何らかの既知の標準によって測定され得ない。それは異る人によっては異って評価されるのである。
「経済学及び課税の諸原理」リカード(青空文庫)
原文を読む
原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。
近い作品
- 人口論 1948年(昭和23年)10月
- 若草物語 1948年(昭和23年)6月
- おおかみと七ひきのこどもやぎ 1949年(昭和24年)2月
- かえるの王さま 1949年(昭和24年)2月
- ブレーメンの町楽隊 1949年(昭和24年)2月
- ヘンゼルとグレーテル 1949年(昭和24年)2月