「ヒリモア」万国公法の内宗教を論ずる章(撮要)(フィリモア)のあらすじ・登場人物
宗教と国際法の境目
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この作品について
イギリスの法学者ロバート・フィリモア(ヒリモア)が一八五四年から刊行した国際法の注釈書『国際法注釈』から、宗教に関わる箇所を抜き出して訳した短い抄録。明治七年(一八七四)、明六社の機関誌『明六雑誌』第六号に、英学者柴田昌吉の訳で載った。キケロ、グロティウス、ギボンらの説を引きながら、宗教が国家と社会に果たす役割、一国が国教にもとづいて他教を禁じることの当否、同じ宗派の信徒を守ることを名目に他国の事柄に関与する権利と、その危うさを、原書の巻と葉数を添えて紹介する。
あらすじ
前半は宗教の効用を論じた章からの抄録で、人間だけが神を知るというキケロの説、宗教は神の恩徳を説くだけでなく人の交わりにも大きな力をもつというグロティウスの説、宗教を政権の保障とみたプラトンの説を引き、一国が自国の平安のために他教を禁じるのは権利の内だが、残酷な処置まで許されるわけではないとする議論や、カエサルのものはカエサルにという教えを紹介する。後半の「宗教の事に与聞する権利を論ずる章」では、キリスト教国が同じ宗派の信徒のために別派の国へ、あるいはキリスト教徒のために異教の国へ関与を求める場合を区別し、こうした関与が条約によって一定の権力となってきたことを述べる。一方で、宗教を理由に兵力で他国に干渉することは内政不干渉の原則から外れて危ういとし、宗教戦争の実は政治的な事情によることが多いというマルテンの指摘や、トルコに駐在したフランスの使節がカトリック保護の名目を空疎な飾りと論じた言葉を引く。最後に、ギリシアの戦争をキリスト教の諸大国がロシアとともに鎮めた例を挙げる。
冒頭部(原文より)
○万類の動物中、人類を除くのほか、一も上帝の上帝たるを識るものあることなし。」人類はたとい暴虐野蛮の種族といえども、その尊信するところの神の正邪はしばらく措き、神を拝することを知らざる者なし、と「シセロ」の説に見えたり。〈「ヒリモア」万国公法第二巻三百二十一葉にあり。〉 ○物理の要するところ、人と教とは人間の幸福において互に相連結するをもって、これを担当すべき人の督理に多少相従わざるを得ず。」ゆえに「グロチュス」判然説て曰、宗教の益は原来上帝の恩徳を講解するにもっぱらなりといえども、人間の交際においてもまたその功力甚だ大なりと。」これよりして「プラト」は深くその道理を推し、宗教を指て政権の保障、性法の鏈鎖なりと云えり。〈三百二十二葉〉
「「ヒリモア」万国公法の内宗教を論ずる章(撮要)」フィリモア(青空文庫)
末尾部(原文より)
この一事に関する公法中の真理を証するには、右に引用せる証拠のほか、さらにこれより正確なるものあるべからず。〈同五百二十葉〉 ○欧羅巴の通商を妨げ、かつその平穏を擾せし希臘国の戦争を平げんがため、耶蘇教の諸大国、魯西亜国とともにこれを和解、鎮定せり。けだし欧羅巴諸国の和解をなせしは希臘国の求に応じたるなり。〈同五百廿八葉〉
「「ヒリモア」万国公法の内宗教を論ずる章(撮要)」フィリモア(青空文庫)
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