永遠の夫(ドストエフスキー)のあらすじ・登場人物
憎しみと友情のあいだ
- 心理
- 翻訳
- 文字数
- 191,510字
- 読了目安
- 約6時間23分
- 表記
- 旧字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
ドストエフスキーが1870年に発表した中編。ペテルブルグの夏、訴訟のために街へ留まっている中年の紳士ヴェリチャーニノフのもとへ、九年前に関係をもった女の夫パーヴェル・パーヴロヴィチが突然現れる。妻はすでに亡く、夫は幼い娘を連れていた。卑屈に笑い、へりくだりながら、どこか不気味な旧知の男。「永遠の夫」と呼ばれる人間の、愛と憎しみ、屈辱と執着がもつれ合った心理劇が、真夏の街を舞台に息詰まるように描かれる。神西清訳。
あらすじ
夏のペテルブルグ。訴訟のために街に留まっているヴェリチャーニノフは、町で喪章をつけた男に何度もすれちがう。やがて現れたのは、九年前に別れた情人ナタリヤの夫パーヴェル・パーヴロヴィチだった。妻は死に、男は幼い娘リーザを連れている。へりくだり、卑屈に笑いながら、つきまとってくる男に、ヴェリチャーニノフは苛立ちと得体の知れない恐れを覚える。やがてリーザをめぐって二人の関係は決定的な局面を迎え、憎しみと友情の入り混じった夜が訪れる。
登場人物
- アレクセイ・イワーノヴィチ・ヴェリチャーニノフ 三十八、九歳の紳士。世間を広く渡ってきたが、近ごろは憂鬱に悩まされている
- パーヴェル・パーヴロヴィチ・トルソーツキイ ナタリヤの夫。卑屈な笑みと執拗な視線をもつ官吏
- ナタリヤ・ワシーリエヴナ パーヴェルの亡き妻。九年前、ヴェリチャーニノフと関係があった
- リーザ パーヴェルが連れている幼い娘
- クラーヴヂヤ・ペトローヴナ ヴェリチャーニノフの旧友ザハールヒンの妻。リーザを預かる
冒頭部(原文より)
夏が來たというのに、ヴェリチャーニノフは案に相違して、ペテルブルグに踏みとどまることになった。南ロシヤの旅行もおじゃんになったばかりか、事件はいつ片づくとも見えない始末だった。事件というのは領地に關する訴訟だったが、風向きはすこぶる思わしくなかった。
「永遠の夫」ドストエフスキー(青空文庫)
末尾部(原文より)
右へ分かれる支線、つまりあの田舍町にいる婦人のほうへは行かなかった。――その道をとるには、あまりにも白けた氣持になっていたのである。そしてそれを、あとになってどんなにか悔んだことだろう!
「永遠の夫」ドストエフスキー(青空文庫)
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