正直な泥棒(ドストエフスキー)のあらすじ・登場人物
盗んだ男の最後の告白
- 心理
- 翻訳
- 文字数
- 21,518字
- 読了目安
- 約43分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
ドストエフスキーが1848年に発表した短編(「無名氏の手記より」)。台所女のすすめで部屋を貸した「わたし」のもとに、老人の間借り人アスターフィ・イヴァーヌイチがやってくる。ある晩、老人は身の上話として、宿なしで大酒飲みの男エメリヤンを拾って面倒を見た日々と、その男に起こったことを語りはじめる。貧しい者どうしの情けと、罪をかかえた人間のあわれを、素朴な語りで描いた。米川正夫訳。
あらすじ
ある朝、台所女のアグラフェーナにすすめられて、「わたし」は台所わきの小部屋を貸すことになった。やってきた老人アスターフィ・イヴァーヌイチは、ある晩、昔の思い出を語りはじめる。往来で酔いつぶれていた宿なしのエメリヤンを、あわれに思って家に置いてやったこと。ところが、そのうちに大事なズボンが消えたこと。やがてエメリヤンは家を出て、また戻ってきたが、寝込んで最期を迎える。そのとき、彼が言い残したことは。
登場人物
- 「わたし」 役所に勤める独身の男。アグラフェーナの勧めで間借り人を置く
- アグラフェーナ 「わたし」の台所女・洗濯女・家政婦。六年ぶりに口をきいた
- アスターフィ・イヴァーヌイチ 間借り人の老人。宿なしのエメリヤンを世話した思い出を語る
- エメリヤン・イリイッチ(エメリヤーヌシカ) 酒に身をもちくずした宿なし
冒頭部(原文より)
ある朝、わたしが役所へ行こうと思って、すっかり支度をしてしまったところへ、アグラフェーナが部屋へ入って来た。これはわたしの台所女でもあり、洗濯女でもあり、家政婦でもあったが、驚いたことには、わたしと話をはじめたものである。
「正直な泥棒」ドストエフスキー(青空文庫)
末尾部(原文より)
「見ると、エメーリャはまだ何かいいたそうにして、自分で体を持ち上げながら、一生懸命に唇をもぐもぐさせていましたが、急に顔を真っ赤にして、わっしを見つめるのです……と、不意にまたさっと血の気がひいて、あっという間にぐたりとなりましてね、首をうしろへがっくりさせて、一つ息をついたと思うと、そのまま魂を神様にお返ししましたよ」
「正直な泥棒」ドストエフスキー(青空文庫)
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