百姓マレイ(ドストエフスキー)のあらすじ・登場人物
思い出が灯す一筋の光
- 心理
- 翻訳
- 文字数
- 5,557字
- 読了目安
- 約11分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
ドストエフスキーが1876年に雑誌「作家の日記」に発表した掌編。シベリアの監獄で復活祭を迎えた「わたし」は、囚人たちの喧騒とののしりのなか、ふと九つのころの思い出がよみがえる。領地の森で「狼が来た」と思いこんで震えていたとき、畑を耕していた農奴マレイが、母のようにやさしく落ち着かせてくれたという。獄中で人間への憎しみに閉ざされていた心に、一筋の光を差す小品。神西清訳。
あらすじ
シベリアの監獄で迎えた復活祭の週。囚人たちの酒と喧嘩とののしりに耐えられなくなった「わたし」は、寝台に横になって目を閉じる。すると、ふいに九つのころの思い出がよみがえってきた。領地の森で「狼が来た」という声を聞いたと思いこんで、泣きながら畑へ駆け出した少年の「わたし」を、野良仕事をしていた百姓のマレイがやさしく抱きとめ、何度も指で額をなでて、落ち着かせてくれた。
登場人物
- 「わたし」 シベリアの監獄に入れられている語り手。ドストエフスキー自身の流刑の体験にもとづく
- マレイ 「わたし」の父の領地で働いていた農奴。九つの「わたし」をなだめた
- 囚人たち 復活祭の日に酒を飲み、喧嘩をする
冒頭部(原文より)
そのとき、わたしは、まだやっと九つでした……いやそれよりも、わたしが二十九の年のことから話を始めたほうがいいかもしれません。
「百姓マレイ」ドストエフスキー(青空文庫)
末尾部(原文より)
とりわけはっきり思いだすのは、わたしのひくひくひっつれるくちびるに、おずおずと、やさしさをこめて、そっとさわった、あの土だらけの太い指だったのです。
「百姓マレイ」ドストエフスキー(青空文庫)
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